2010-05
23
13:08:37
「ガラパゴス・ケータイ」と呼ばせたくない人々


時々このネタがTwitterのTLで流れてくるので。
よくスマートフォンに対して、「ガラパゴス・ケータイ」「ガラケー」と従来の日本のケータイを呼ぶべきではない、と主張する人たちに出くわすことがある。曰くその理由は「従来の日本ケータイへの蔑視だ」「語源のガラパゴスは単なる地名なので言葉として相応しくない、失礼だ」などというものだ。
しかしそうした主張に違和感を僕は感じるしそうした人々は本質論が得てして出来ていない。

「ガラパゴス」という言葉がささやかれ出したのはいつ頃からだったか。
僕もはっきりした記憶は無いが恐らく使われ出したのは三年ほど前からだったのではないか。
これもはっきりしないが、僕自身の感触では当時海外製携帯電話を国内に持ち込んで好き好きに弄っていたユーザー層が自分たちで持ち込んだ携帯を様々な制限で自由に利用させない日本の携帯環境と、かなり自由度の高い海外の環境の差にあきれて、外界と途絶したという意味で「ガラパゴス」と呼び出したのが最初ではなかったか。
元々そこには「日本国内で独自に異常進化した」といういい意味は含んでいなかったような気がするが、それは他の人々が語源の意味や「日本の携帯の進化具合は素晴らしい」と考える人々によって 後から追加されたように思う。

「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」はそういう意味では自国環境を憂いた自虐的な「蔑称」であろう。しかし何故それを使ってはいけないのか、自己規制・自粛しなければならないのか、さっぱり分からない。
何故ならそれほどまでに日本の携帯環境は非難され問題化されなければならない点を含んでいるからだ。

垂直統合モデルによる業界ぐるみのカルテルとも言える仕組みは競合他社を結果的に排除し競合の参入を阻んでいる。キャリア各社はこうしたモデルの崩壊を恐れ、結果的に自由度が低く競争が発生せず消費者に不便を強いている。
契約者識別IDに代表されるようなセキュリティやプライバシー問題の存在もある。10年の昔の時代遅れの技術が未だに購買モデルという重大な箇所に使用され続け、問題点や脆弱性を常に指摘されながらキャリア各社は頬被りをして問題解決のそぶりさえ見せない。
強制的なSIMロックやアクセスポイントを意識的に隠蔽しユーザーに自由に端末を使わせず全ての利用を自分たちの管理下に置きユーザーの利用の自由を阻害する。
など。

「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」とはこうした問題点を明確に言い表すための素晴らしい「発明」であったと今となっては感じている。まさしく如何に日本は多くの海外事情に比べて「異質で消費者を馬鹿にしているか」を示す名ワードである。
そういう思いがあるから僕は 「ガラパゴス・ケータイ」「ガラケー」を積極的に使う立場だ。

一方で「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」を使うべきでない、と訴える人々は上記をどう捉えているのだろう。
僕には知る由もないが、仮に問題点を理解せずに「蔑称は使うべきではない」という耳障りのいい話に流されているのだとしたら、ぜひ上記の問題に触れて自分でどうあるべきかもう一度考えてみて欲しい。
ガラパゴスと呼ばれる垂直統合モデルがどんな問題を引き起こしているか、拙作で恐縮だが以前こんなエントリーを上げたことがある。問題の一部かも知れないが概要は理解できるはずだ。
契約者識別IDは利用者のプライバシーを蔑ろにし今日では全く歓迎できるものではないが未だに日本の携帯業界は採用を続けている。海外ではこのような方式はほぼ採用しておらずまさしくガラパゴスな好例である。問題点については(技術的な部分が多いが)高木浩光氏の有名なエントリーに詳しい。
SIMロックやアクセスポイントの問題については数多くの問題点を指摘したエントリーがネット上にはあるので検索して欲しいが、拙作ではアクセスポイントについてこのようなエントリーを上げたことがある。

問題は上記を知りつつそれを隠し、本質を見せないようにしつつ言葉狩りに走っている人々だ。
それが誰なのか、とは言わない。しかし昨今の議論の中ではこうした問題点には全く触れずただ言葉狩りを訴えているだけに見える人も多くみかける。
それがキャリアやメーカーの人間であればある程度の理解は出来る。自分たちの立場も踏まえた上での発言であれば、ある程度のポジショントークもやむを得ない面はあるだろう(それでも健全に素直な議論をお願いしたいものだが)。
しかし一部のライターと呼ばれたり自称”ジャーナリスト”な人々についてはどうだろう。
上記のような論点を知らないのだとすれば全く持って勉強不足だし、キャリアやメーカーにおもねて「言葉狩り」に走るのだとしたら論外だ。

我々消費者としては言葉狩りに惑わされる必要はない。言葉は生き物だしここまで広まった言葉を否定する必要もない。「それが失礼だ」というのなら、何が何に対して失礼なのだろうか。消費者がキャリアやメーカーに何を気を遣う必然性があるのか。消費者とは独善的なまでに消費のための要求を行うべきなのだ。
それよりもぜひ気を付けて欲しい。本質に気付かれたくない人たちは常にいつの時代でもこうした些細な問題に目を向けさせ本質論を阻もうとすることに。
小さな問題に気を取られてより大きな問題を見誤ってはいけないことに。

12 thoughts on “「ガラパゴス・ケータイ」と呼ばせたくない人々

  1. 他人の意見を聞き入れず持論を突き通す、言わばここはガラサといった所ですかね。
    独自に発展する訳でも無いので、ガラと付けるにも値しないでしょうか

  2. スマフォ使ってる奴なんてどうせ全身ユニクロのキモいがり勉高学歴層だけだろ

    スマフォもう売り上げ伸び悩みだな
    44パーセントまで落ち込んでいる
    全体の一割以下しか売れてないのにもう落ち目
    スマフォはもう時代遅れ

  3. http://satoshi.blogs.com/life/2010/07/garapagos.html
    >私が最初に公の場でこの言葉を使ったのは、2001年のCTIA(米国最大の携帯通信業界のカンファレンス)でのこと。
    >もちろん、その当時は私自身も「日本メーカーに海外進出のチャンスあり」と見ていたので肯定的な意味で使っていたのだが、それが今や「独自すぎて海外で通用しない」というネガティブな意味になってしまっているのは何とも皮肉である。

  4. >違和感を僕は感じるし
    間違いと断じて良いか分からないがここは「違和感を抱く」「違和感を覚える」の方が適切かも知れない。

    >耳障りのいい話
    正しくは「聞こえの良い話」。

    >全く持って勉強不足だし、
    正しくは「全く以て」。

    >キャリアやメーカーにおもねて
    正しくは「おもねって」。

    >仮に問題点を理解せずに「蔑称は使うべきではない」という耳障りのいい話に流されているのだとしたら

    これは「ブスにブスって言って何が悪い」という開き直りそのもの。
    論じる対象に何か問題が有ったとしても蔑称を使って良い理由にはならない。
    蔑称を使ったとしても、その問題が改善されたり議論が盛り上がる訳でもない上、
    問題点を知らない人間には発言者が口汚い人間であるという事以上の情報は伝わらない。
    「蔑称は使うべきではない」という反応が返るのは当然だ。
    若し『問題点を理解せずに「蔑称は使うべきではない」という主張』を不愉快に思うのであれば、
    蔑称を使うより先に問題点を理解していない人に問題点を教えるべきだ。

    1. 言葉の使い方については真摯に反省。。ご指摘ありがとうございます。
      後段に関して言えば、つまりその問題点の提示方法、「知ってもらう努力」にもバリエーションがあるのだと言うことです。また個人的に言えばそれを一般的な話として問題点を具体的に指摘してきていないということはありません。他エントリーもご参照下さい。
      ただ個人的にはやはりこれを「蔑称」にしてしまいたい意図の方に「違和感を覚える」のですがね。

  5. ガラパゴス携帯ってのは海外から日本の携帯を見た感想であって
    当事者の日本人が言うことではないのじゃないの。

    日本に住んで暮らしてるのになんで外人目線なん?と
    ガラケー連呼する人を見るたびに思います。

    いやー日本には名誉外国人の方が多いですね。

    1. 外人目線と言われると違和感を覚えますね。
      国際的な視点と言うとスッキリします。
      日本は世界の一部ですから、世界にも目を向けないと
      天敵が現れたらあっという間に絶滅してしまいますよ。

      もう現れていますけどね。

  6. わかってないのはお前じゃね?
    ガラケーの由来は日本独自の文化で発展し高機能ながら世界的に受け入れられなかったためについたあだ名だぞ。元々の定義が間違ってる時点で何の説得力もないな。もっとちゃんと調べてからかけよチンカス

    1. そんな高性能なシステムが何で世界で受け入れられなかったんでしょうか。ちゃんと調べてないので教えて下さい。
      それと「高機能」って具体的に何ですか?

      1. 「高機能」
        さて、何が高機能なのか?
        ・課金システムが高機能
        消費者がクレジットガード無しに課金アプリケーション、サービスを受け取れること。
        誰でも手軽にボッタクリ楽曲ダウンロードを可能にした。

        ・著作権管理システムが高機能
        例えば国際標準化されている、暗号化無しのMP3/AAC着うた設定機能は禁止。上記の課金システムを用いて自キャリア網内から購入したコンテンツだけが設定可能などという独占システム。壁紙ですら暗号化を掛ける。暗号化の鍵はICカードのID -ICCID- と言う姑息さ。盗難、破損などの事情でICカード交換を受けた瞬間、バックアップしておいた全てのコンテンツがパー。
        加入者のID-IMSI-は基本的に変わらないし、従前の鍵(SIM導入前)は電話番号 -MSISDN- であったので、もっと緩かった。キャリアは「著作権」と言うが、既得権と言うしかないだろう。
        ボッタクリ楽曲ダウンロード以外を認めない体制を完成させた。

        ・アプリの独自拡張機能が高機能
        Javaアプリ、Flashには必ず各キャリア仕様の独自拡張が含まれ、3D描画などを可能に。同時に、海外からの持ち込み機が全く互換性のない締め出しとなっている。
        国内機は一般のMIDP準拠アプリは締め出し。auだけ互換レイヤを出してこの間対応したが…容量等の制限がきつい。
        ソフトバンクは認証鍵を付けるサービスに開発者として登録できれば、ベースが完全にMIDP準拠ではあるのでほぼ動かせないこともない。ドコモダケ、iアプリはケータイJava先駆者である故にMIDP非互換。auのように互換レイヤを出す気も無し。

        オマケ
        ・鉄壁のカルテルが高機能
        消費者の動きが弱いのをいいことに日本で携帯を使う以上SIMロックなどあらゆる不便を被らなくてはならない。集団訴訟しかない。
        SIM導入以前はSIMロックに相当するものはなくて、PDC規格で周波数が同じならばキャリア間の乗り換えができていました。docomo→IDO/セルラー等。WebとメールはPDC規格に対して後付け仕様なので互換性無し。

      2. 高性能だから世界に受け入れられる、と考えられているコメントを読むとかなり残念な気分になり、コメントしました。

        > 当時海外製携帯電話を国内に持ち込んで好き好きに弄っていたユーザー層が自分たちで持ち込んだ携帯を様々な制限で自由に利用させない日本の携帯環境と、かなり自由度の高い海外の環境の差にあきれて、外界と途絶したという意味で「ガラパゴス」と呼び出したのが最初ではなかったか。

        出展を教えていただけますでしょうか。
        出展がなければご自分の感想を発信された、ということで、
        p1251-ipbf1306souka.saitama.ocn.ne.jp さんのような
        つっこみを受けるのは当然かと思いました。

        > 「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」はそういう意味では自国環境を憂いた自虐的な「蔑称」であろう。しかし何故それを使ってはいけないのか、自己規制・自粛しなければならないのか、さっぱり分からない。

        自虐的なら他者の名前を使ってもいいということですね。
        あくまで自分をバカにしているだけなので、
        自分をバカにするために使うことばは何でもいい。

        だからここにコメントする自分をバカにします。
        「あー、ROCAみたいだ」

        自分のクラスに、成績がよろしくない
        ○○くんという人がいます。

        あなたはある日テストで点数が悪かったとき、
        自分の点数を見て、
        「○○くんと同じレベルだ」
        と言いました。

        ○○くんはそう聞いてどう思いますかね。

        評論家らしい文面に透けるものが
        インターネットを介して公表されるのを見ると、
        駅前のロータリーで大声で同じことが
        言えるんだろうな、と感服しました。

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