「ネット界隈」カテゴリーアーカイブ

2013-05
08
03:53:48
国民生活センターが言い訳としてのベストエフォートを問題視し始めた


先月国民生活センターが注意情報を発表した。

モバイルデータ通信の相談が増加-「よく分からないけどお得だから」はトラブルのもと!-

(全文/PDF)

MNO/MVNOでの契約や販売時のトラブルについて寄せられた苦情をまとめたもので、最近頻繁に聞くキャリアショップ店頭での抱き合わせ販売なども掲載されているが、本稿では特に本ブログでは日本通信(b-mobile)で問題視してきた「ベストエフォートでのトラブル」に注目したい。

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2013-02
05
21:35:46
ターゲティング広告のオプトアウト方法が半端なく分かりにくすぎる


行動ターゲティング広告周辺についてはいろいろな話題があるのだけれど、個人的に一番問題で、そうした話題に拍車をかけているのが「オプトアウト方法が半端なく分かりにくい」という点では無いかと思っている。

穿って見れば、広告事業者(広告配信会社や媒体社)にすれば特別な効果をもたらすらしいターゲティング広告の前提となる「ユーザートラッキング」を簡単にはオプトアウト(無効化)されなく無いのは確かかも知れないが、一方ではユーザープライバシー確保の観点からユーザー自身による拒否の表明、つまりオプトアウトを「簡易に提供すべき」とされている。
これはインターネット広告の業界団体であるJIAA(一般社団法人 インターネット広告推進協議会)が公表している「行動ターゲティング広告ガイドライン」でも明確に述べられている。

第4条 配信事業社および掲載媒体社は、次の各号に定める事項(第1号ないし第13号記載の事項は必
須項目、第14号記載の事項は推奨項目。以下、第1号ないし第14号の事項を「告知事項」と
いう)を、自社サイトのプライバシーポリシーなど分かりやすいページにおいて利用者が容易に
認識かつ理解できるような態様で表示する等の方法により、利用者に通知し、または利用者の知
り得る状態に置く。
① 取得の事実
② 対象情報を取得する事業者の氏名又は名称
③ 取得される情報の項目
④ 取得方法
⑤ 第三者提供の事実
⑥ 提供を受ける者の範囲
⑦ 提供される情報の項目
⑧ 利用目的
⑨ 保存期間
⑩ 利用者関与の手段
⑪ 個人を特定できない情報の利用である旨の明示
⑫ 個人情報取り扱いに関するポリシー(もしくはそこへのリンク)
⑬ 参画企業でのガイドライン遵守の明示
⑭ 各社がそれぞれに留意・配慮している領域

第5条 広告提供事業者は、利用者に対し、広告提供事業者が行動履歴情報を収集することの可否、広告
提供事業者が行動履歴情報を利用することの可否を容易に選択できる手段を、自社サイトの分か
り易いページから簡単にアクセスできる領域で提供する

しかしプライバシーに敏感な層で理解している人たちには明快であっても、もっともこうした情報が必要なITにも疎い層にはどうだろうか。分かりやすい表示がされているか、何よりオプトアウトするのかオプトインで良いか、自然に選択できているだろうか。
もちろんそうはなっていまい。
この「ターゲティング広告のオプトアウトの分かりにくさ」とは何だろうか。

オプトアウトされているのか、操作が分かりにくい

全ての事業者でとは言わないが、一つ例を挙げよう。

スクリーンショット 2013-02-05 20.11.15

さて、これを見て「オプトアウト」されているのかどうか一瞬で理解できる人はどれだけいるだろうか。
オプトアウトは多くの場合「オプトアウト用Cookieをユーザーが設定」することで事業者がオプトアウト機能を有効にする。つまりオプトアウト用Cookieが設定されていないデフォルトの状態は「オプトアウトしていない」である(トラッキングを許している状態)。
そうした技術的な理由もあるので仕方ない面もあるのだが、上記のように「オプトアウト」と画像が大きく出ており「クッキーの機能は無効」と書いてあれば「トラッキングは無効なのだな」と感じるのでは無いか。しかしこの状態は実は「オプトアウト用Cookieがまだ設定されていない」つまりオプトアウト前であることを示している。オプトアウトされると今度は「有効化」と言われる。
一方、以下のような例もある。

スクリーンショット 2013-02-05 20.22.36

ここでは「無効」というのはトラッキングが無効という意味でありつまり実は「オプトアウト」されていることを示している。

これだけ業界内で表記が揺れていればユーザーは「簡易に」自身の状態を知ることはできないだろう。また設定したところで本当にトラッキングが停止されたのか知る術は無いのだから尚更だ。

オプトアウト機能ページへ辿り着けない

次にそもそもこうしたオプトアウト機能ページへトップページから辿り着けない。
以下はJIAA加盟159社で「JIAAガイドラインに沿ってトップページから分かりやすいところにプライバシーポリシーなどユーザーへの説明が掲載されているか」「どういう広告を取り扱っているか、必要ならオプトアウト機能が簡易な方法で掲載されているか」を個人的に調べた結果・・・のつもりだったのだがさすがに加盟社が多すぎたので「あ段」のみで断念した。勘弁。
あくまで「個人的な感想」であり、また「簡易に辿り着けるか」に着目してそれぞれ1分程度で辿り着けるか試したに過ぎないので見落としや勘違いも含まれると思う。しかしそれも含めて意義があるはずとも思っている。なのでその点は留意して欲しい。

加盟社名 プライバシーポリシーやオプトアウトに関するページ 個人的コメント
株式会社 アイ・エム・ジェイ http://www.imjp.co.jp/privacy/ ×見つからない マーケ屋さんなので準備無しか
株式会社 アイスタイル http://www.istyle.co.jp/privacy/
http://www.cosme.net/html/prv/index.html
×アットコスメのプライバシーリンクへ行かないと見つからない
アイティメディア株式会社 http://corp.itmedia.co.jp/corp/privacy.html
http://corp.itmedia.co.jp/corp/cookies.html
○ 但しプライバシーポリシーが膨大で見つけにくい
アイブリッジ株式会社 http://www.ibridge.co.jp/html/privacy1.html × 広告への言及が全く無い
株式会社 アイメディアドライブ http://i-mdrive.co.jp/privacy/
http://i-mdrive.co.jp/privacy/optout/
○ 但し3クリック先
株式会社 アイレップ http://www.irep.co.jp/policy/ × 広告扱ってるのに消費者への説明が一切無い
株式会社 アクセリオン http://www.axelion.co.jp/policy/index.html × 広告扱ってるのに消費者への説明が一切無い
株式会社 アサツー ディ・ケイ http://www.adk.jp/html/privacy/index.html × 広告屋のくせに消費者への説明が一切無い プライバシーポリシーも貧弱
株式会社 朝日広告社 http://www.asakonet.co.jp/utility/privacy.html × 広告屋のくせに消費者への説明が一切無い プライバシーポリシーも貧弱
株式会社 朝日新聞社 http://www.asahi.com/shimbun/kojinjoho/hogohoshin/ × プライバシーポリシーの本体が数クリック先 広告についての記載がほぼ無い
株式会社 アスキー・メディアワークス http://asciimw.jp/info/privacy/ × 広告についての記載無し
アドバタイジングドットコム・ジャパン株式会社 http://jp.advertising.com/company/privacy/
株式会社 アドフレックス・コミュニケーションズ http://www.ad-flex.com/privacy.php × 広告についての記載無し
E-グラフィックス コミュニケーションズ株式会社 http://e-gra.jp/privacy-polisy.php × 広告についての記載無し
株式会社 イプロス http://www.ipros.jp/privacy/
http://www.ipros.jp/optout/
株式会社 Impress Watch http://impresswatch.jp/privacy.htm
株式会社 AIDIA http://www.ai-d-ia.com/privacy.html × 広告扱ってるのに消費者への説明が一切無い
株式会社 ADKデジタル・コミュニケーションズ ×× そもそもサイトが機能していない
株式会社 エイムクリエイツ http://www.aim-create.co.jp/privacy-policy.html × 広告についての記載無し プライバシーポリシーも貧弱
エキサイト株式会社 http://www.excite.co.jp/help/protection/
http://www.excite.co.jp/info/cookie/
○ ちょっとリンクが分かりにくいけど
株式会社 エスワンオーインタラクティブ ×× 広告扱ってるらしいのにプライバシーポリシーさえ無い
NECビッグローブ株式会社 http://www.biglobe.co.jp/privacy
http://www.biglobe.ne.jp/btcookie.html
○ ちょっとリンクが分かりにくいけど
NHN Japan株式会社 http://www.nhncorp.jp/legal/privacy.html
http://help.naver.jp/faq?itemNo=1152
× NAVERやLivedoor別に分かれていて本体のプライバシーポリシーは舐めてるとしか言いようが無い LINEには存在しない模様
株式会社 エヌケービー http://www.nkb.co.jp/privacy.html × 広告屋のくせに消費者への説明が一切無い プライバシーポリシーも貧弱
株式会社 エヌ・ティ・ティ・アド http://www.ntt-ad.co.jp/company/privacy_policy.html × 広告屋のくせに消費者への説明が一切無い プライバシーポリシーも貧弱 リンクがわかりにくすぎる
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 http://www.nttcoms.com/privacy/index.html/ ○ プライバシーポリシーは質素だが「原則取得しない」と明言しているので当然か
エヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社 http://www.nttr.co.jp/privacy_policy/ × 少なくともGooの広告についての記載は無さそう
株式会社 オープンキューブ http://www.opencube.co.jp/privacy/ × 広告扱ってる気がするんだけど記載無し
株式会社 オールアバウト http://allabout.co.jp/info/policy/
http://allabout.co.jp/info/policy/#q11
オグルヴィ・ワン・ジャパン株式会社 http://www.ogilvy.co.jp/privacy/index.html × 広告屋のくせに消費者への説明が一切無い
株式会社 オサマジョール ×× 広告扱ってるらしいのにプライバシーポリシーさえ無い
株式会社 オプト http://www.opt.ne.jp/about/privacy.html × 広告屋のくせに消費者への説明が一切無い プライバシーポリシーも貧弱
株式会社 オリコム http://www.oricom.co.jp/privacy.html × 広告屋のくせに消費者への説明が一切無い プライバシーポリシーも貧弱
オリコンDD株式会社 http://www.oricon.co.jp/information/policy.html
http://www.oricon.co.jp/company/policy/
○ 各社ポリシーに分かれるので分かりにくい

34社中「まあ合格では無いか」と感じたのは10社にとどまった。またその多くは大手媒体社とそもそもの広告配信社だ。特に大手の媒体社はさすがにしっかりしている。
しかし何より広告代理店のプライバシーポリシーや説明の貧弱さが目立つ。
オプトアウトどころか「広告の意義さえ説明できていない」事業者が多いのが現状だ。

アメリカでは一括でオプトアウトできるツールを業界団体が提供している

プライバシーや広告への規制が厳しいことでアメリカはよく知られているが、JIAAのようなNAI(Network Advertising Initiative)という業界団体がある。
ここでは以下のようにブラウザから利用できる、各広告配信業者を横断で「一括」オプトアウトできる「簡易な」ツールを提供している。

スクリーンショット 2013-02-05 20.58.24


Cookieを設定するのでブラウザ毎に設定しないといけないのは仕方ないが、ここで注目すべきは

  • 業界団体が率先してこうした簡易ツールを提供している
  • 広告配信事業者がこのツールのために共通のAPIを提供している=業界内の連絡・協力網が確立している
  • 広告配信社自身も上記ツールの利用を勧めている

ということだろう。
「簡易な方法」とはすなわちこういうことであろう。

日本のJIAAではどうか

では日本のJIAAではこうした状況をどう考えているか。
半年ほど前になるがJIAA宛てに「業界としてNAIのツールのような簡易なオプトアウト方法を提供するつもりは無いか」尋ねたことがある。

大体想像は付くと思うが回答としては

課題として認識しており、会員社へのモニタリングなどを通じて検討中でございます

とのことであった。
最近、「その後何か進展はあったか」メールで尋ねてみたが、一週間以上経った現在も特に返答は無い。

必要なのはユーザーがコントロールを取り戻すこと

強調しておきたいが、広告は必要だ。特にインターネットにおいては。インターネット広告は現在もまた将来も、インターネット事業の重要なエコシステムの一部であるからだ。
しかしだからと言ってユーザーが必要十分な選択肢が与えられていないことがもっとも問題なのである。
何が起きているのか知ること、そして自身で選択すること(選択できる状態に置かれること)だ。

しかしながら簡単に言えばこうした観点では、少なくとも日本の現状では業界の自主的な取り組みに期待できることはもはや無いのでは無いだろうか。
中には真摯に取り組んでいる事業者もあろうかと思う。しかし全体としては「ユーザーオリエンテッドに」進んでいるとは言えまい。

ということで。
近日中に僕は僕で出来ることを公開してみたいと思う。少し時間がかかるかもだけど、ぜひご注目下さい。

 

追記

「誤用としての」オプトアウト・オプトインという呼称を極力修正しました。
本来オプトアウト・オプトインとはそれぞれ「利用者の意思を確認せず事業者がトラッキングやメール送付を行い、利用者が拒否の意志を示せば停止すること」「利用者が利用の意志を示して初めて事業者がトラッキングやメール送付を行ってよいこと」という方法を示す言葉です。
しかし最近ではそれぞれ「拒否すること」「許可すること」を示す用法が多く見られ、また上記エントリーで指し示すのに相応しい用語が他に無いと判断した(そもそも他の用語を使うと記事の意図が伝わりにくいと判断した)ため、一部誤用としてのオプトアウトの意味でも使用しています。

 

2013-01
11
01:35:14
日本通信株式会社殿への公開質問状


日本通信株式会社御中

この度御社との契約に関し問題となっている点に関連して、以下の通りここに公開質問状を掲載するものです。
何とぞご回答頂きたくお願い申し上げます。

背景

2012年12月上旬、私は「b-mobile月額定額2980円限定Happyパッケージ」を御社宛に申し込みました。本パッケージはドコモLTE/3Gに対応した最大LTE 75Mbps/3G 14Mbpsを謳ったデータ通信専用SIMと2年間の利用で実質0円とするWi-Fiルーターとのセット販売のパッケージです。
しかしながら別稿にも記載しています通り、最大LTE 75Mbps/3G 14Mbpsを謳いながらも私の環境(3G環境)ではせいぜい100-数百Kbpsの性能しかまた頻繁に数十Kbpsしか出ず全く使用に耐えるものではありませんでした。
そのため同12月中旬に「契約取消」を御社へ申し出ましたが御社はデータ通信契約の「解約」としてのみ取り扱い、本日現在に至るまで未だ御社は契約取消に応じず初期費用および1ケ月分の利用料金更に端末割賦分を今後もクレジットカードから引き落とし続けるとされています。

質問事項

1. 既に御社へも計測データを送付しているように私の環境では平均的にもダウンロードが数百Kbps、頻繁に100Kbpsを下回る性能しか得られず絶対的な性能値云々以前に「利用に堪えない」状況であり故に契約取消を迫らねばならない状況でした。すなわち「使用できない製品」だった訳です。御社の瑕疵が原因にもかかわらず御社が契約のキャンセルを認めずあくまで課金を続けられる理由をご説明下さい。

 

2. 御社では、月額980円でダウンロード速度を最大150Kbpsに「制限」しているプランもお持ちです。しかし私のケースでは月額2980円のプランにも関わらずこの980円プランにも満たない性能の場合も多くありました。これは大変不公平かつ不公正なことであると個人的には考えますが、こうした事例に関しての御社の見解をお聞かせ下さい。

 

3. 御社における「ベストエフォート」の定義をお教え下さい。

 

4. ベストエフォートとは日本語では「最善努力」と主に訳されますが、一説には契約に厳しい欧米では契約事項に含めるからにはどのような「最善努力」がなされているか非常に厳しく求められる事項であり契約に含める場合にはかなり躊躇される条項であるともお聞きします。
御社ではベストエフォートに関して具体的にどのような「最善努力」をされていますか。またその最善努力は具体的にどのような成果を上げてきましたか。

 

5. 他社の同様なドコモ殿MVNO(IIJmio殿など)では上記計測と同様の環境でもどの時間帯でも、ダウンロードが1Mbpsを下回ることはまず無く通常はコンスタントに2-3Mbpsを維持しています(3G環境の場合)。御社と全く同じような価格帯の製品であり同じドコモ殿のMVNOでありながらこのような差が出る原因は何でしょうか。どのような原因が考えられますでしょうか。

 

6. 電話サポートでは「他のお客様から同様のお叱りは頂いている」とお聞きしています。他のお客様にはどのように対応されていますか。また皆さん上記の説明にて大変満足されて納得されていますでしょうか。

 

7. 例えどのような「低スピード」「低性能」であろうとも御社が「ベストエフォート」と銘打たれていらっしゃる限りは、今後含めて顧客からの契約取消を「一切受け付けない」方針は変わりませんか。

 

以上となります。
お忙しい中恐縮ですがご回答賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。


以上の内容で、日本通信殿へはご連絡申し上げる予定です。
何か進展ありましたら当ブログにても取り上げます。

以上

 

(追記)  Twitterでの反響をまとめてみました。

(追記) 2013/01/24

以下の内容で催促のメールを送付しました。

日本通信株式会社
代表取締役社長  三田聖二殿
代表取締役専務CFO  福田 尚久殿
常務執行役員  田島淳殿

先日1月11日付けにて下記の通り、御社宛公開質問状をご通知および下記URLにて公開させて頂いております。
勝手ながら18日までのご回答をお願いしておりましたが、本日に至るまでご回答を頂いておりません。
本公開質問状は公開後約数万ビュー閲覧されており、ネットでの反応を見ましても大変注目される質問となっております。
ぜひ御社のお立場やお考えを明らかにして頂きたく、正々堂々ご回答頂けませんでしょうか。
ご回答若しくは回答の是非、回答できない場合は何故出来ないのかお教え頂けましたら幸いです。

お忙しい中大変恐縮ですがご返答賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。

(追記) 2013/02/08

こういうツイートを日本通信の公式アカウントからもらっていたのですが、

スクリーンショット 2013-02-08 7.41.45


本日に至るまで二度サポートへ催促したのですがガン無視されてますね。
多分上から黙殺するように指示されているのでしょうね。

 

2012-12
13
23:00:40
全くもってオススメしない、日本通信の2年縛り実質0円LTEルーター付きパッケージ


今日の夕方になって、「日本通信(b-mobile)が発売している実質0円のLTE付きHappyキャンペーンパッケージがアマゾンおよびヨドバシでも発売を開始した」というニュースを見て、「これはマズい」と思いブログを書いてみる。

日本通信、月額2980円のLTEルーター+SIMのAmazon版/ヨドバシ版を発売

結論から言えば「あなたはこれに手を出すべきでは無い」という忠告だ。
つまり「このパッケージを買ったはいいが速度性能的に全く使い物にならず、クレームを付けてもキャンセルや話し合いをガンと拒否され、解約で端末割賦分3万2千円を『何も利用していないのに』請求されるであろう僕が通りますよー」ということである。
日本通信の酷い速度性能についてよく知っている方はこれを読む必要性は全く無い。
しかし「割と良いのでは無いかな」と一週間前の僕と同じことを考えてしまった人はぜひこの忠告を読んでみて欲しい。

 

この実質0円LTEルーター付きパッケージは「b-mobile月額定額2980円限定Happyパッケージ」という名称で販売されている。
月額2980円/LTE・3G対応/2Gまで利用可能というほぼ一般的なSIMパッケージだが、そこにb-mobile4G WiFi2というLTE対応Wi-Fiルーターを「実質0円」で付けているところが特徴である。
このルーターは定価32000円だが、1ヶ月目 1520円・2ヶ月目〜24ヶ月目 1360円の割賦でのみ販売し、かつ月額料金からこの割賦分と同額を差し引くことで、結果月額2980円で「24ヶ月使い続ければ」実質0円になるという謳い文句である。
この話だけなら特に悪くも無い。どころか、月額2980円でLTEが使えるのならまた2年と言わず常にデータ通信用SIMが欲しいなあと思っていたなら(まさに僕がそうなのだけど)非常に魅力的に映ることだろう。

そう、「2年間使い続けられる」ならば。

逆に言えば、2年も使い続けることがストレスにしかならない代物であったなら、即解約せざるを得ないなら、初期手数料はもちろんのこと、全く使わなかったとしても端末割賦代金一括3万2千円をドブに捨てることになるのである。
まさしくこの「b-mobile月額定額2980円限定Happyパッケージ」はそういう代物であった。

日本通信 データ専用SIMの速度計測結果

結論から示そう。
以下は今週初めに、問題が発覚してからエビデンスとして約一日張り付いて計測した結果である。

2012/12/10 19:00 2012/12/10 22:00 2012/12/11 1:00
Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps) Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps) Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps)
XTREAM SEED TEST 759 258 169 3583 671 153 307 120 49
SpeedTest HD 258 0 60 490 630 190 301 0 130
BNR Speed Test 381.35 500.71 299.54
2012/12/11 2:30 2012/12/11 8:00 2012/12/11 11:00
Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps) Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps) Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps)
XTREAM SEED TEST 3993 287 86 2740 1450 106 3128 517 84
SpeedTest HD 267 0 190 423 2520 320 268 0 190
BNR Speed Test 446.32 966.36 500.98
2012/12/11 13:00 2012/12/11 15:00 Avg
Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps) Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps) Latency(ms) Download(Kbps) Upload(Kbps)
XTREAM SEED TEST 3508 203 35 1842 383 94 2482.5 486.125 97
SpeedTest HD 489 0 60 342 630 320 354.75 472.5 182.5
BNR Speed Test 192.09 356.5 455.48125

計測場所は都内山手線にも近い某所(つまり僕の自宅なのだけど)、またLTEがまだ来ていないため。3G/HSDPAであったことには注意して欲しい。
テスト内容は、日本通信の4G WiFi2 ルーターにSIMを刺しiPhone5からWi-Fi接続を行い各種アプリ・サービス(XTREAM SPEED TESTSpeed Test HD(サーバーは東京)、BNR Speed Test)にて計測を行った。つまりこのパッケージにおいて日本通信が想定している利用方法そのままである。
実は先月いっぱいまで同じドコモのMVNOであるIIJmioのファミリーシェア1Gプランを利用していた。iPhone環境などが変化したため一旦解約したのだが、エビデンスとしては残していないので曖昧な書き方になるが、日中あるいは深夜でもまず1Mbpsを下回っていたことはなかった。平均的にはほぼ2-3Mbpsだっただろう。(同じく3G/HSDPA環境)
恐らくはドコモの純正SIMを利用されている方でも、山手線などの大きな駅近くでも無い限りは同じような速度を体験されているのでは無いかと思う。僕の友人間でもドコモ(MVNO含む)ではそれぐらいの体感が多いように思う。

しかしそれに対する日本通信での性能の低さは顕著だ。まずこれまで1Mbpsを大きく超えた経験がほとんど無い。
上記エビデンスでも1Mbpsを超えているのは、時間帯的にネットワークが最も空くとされる朝方のみである。しかもそれでも平均すると1.6Mbps程度なのだ。
特に気になった箇所は赤字で示しておいたが、ダウンロード速度が計測できなかった(0の箇所)、レイテンシィが何と数秒以上の箇所が多い。これはつまり内部ネットワークの軋轢がかなりあることの証左であろう。
また、よく月額980円程度で120Kbpsに制限しているデータ通信専用SIMというのもあるが、まさしく混んでいる時間帯にはその程度の速度しか出ていない。
僕自身の感覚的な話になるので詳しくは省くとしても、実際の利用(特に昼や夜間など「最も利用したい時に」)にかなりストレスを感じたことは容易に想像してもらえるのでは無いか。

日本通信の言い分

では日本通信はこうしたクレームについてどのように回答しているか。
何度かメールなどでやり取りしたが、まとめるとこういうことだ。

  •  (エビデンスを示した上で)これを日本通信としては正常であると判断するのか → ベストエフォートと謳っており瑕疵では無い。利用状況により通信品質が変動するとの前提にて全体としては正常かつ妥当な通信である。弊社サービスとしては通常品質でありユーザー様に不利・不公正とは考えていない
  • 最大速度のみ謳い(LTE 75Mbps/3G 14Mbps)こうした性能の実情を事前に示さないのは問題では無いか → 実際の通信速度での表記に関しては常に一定品質でなく利用場所や時間帯等の通信状況に左右されるため、かえって誤解を招くと考えている。そのため現状では通信速度制限を行なっていないものに関しては技術規格上の表示のみとしている
  • 瑕疵では無いのでキャンセルは出来ない。またあくまでも通信サービス契約と端末販売は別のものでありHappyパッケージは弊社指定の通信サービスをご利用いただいた場合の割引特典付き端末という商品という位置付けである。通信サービス自体の解約は解約料の発生も無く、この場合は割引特典は無効になり端末のみご購入いただいている状態と理解して欲しい

国民生活センターや総務省電気通信消費者相談センターは頼りになるか

「ベストエフォート」はやっかいだ。何故ならそこには「明確でデジタルな判断基準」が存在しないからだ。
一般論として「ベストエフォートを謳いつつ極端に性能が低い場合消費者への何らかの救済策があり得るか」、まず総務省に聞いたところ、そもそもガイドライン含めて実はベストエフォートという定義を打ち出したことは無い。あくまでこの文言は業界の慣例であるとのことだった。なので当然のことながら速度性能がどの程度であろうとベストエフォートを謳っている以上介入や指導は出来ないとのことであった。
国民生活センターでも「どこからなら問題か」数値を示せない以上お力にはなれないという回答であった。
つまりこうした問題に直面した場合、あなたを助けてくれる第三者機関や行政は存在しない。

MVNOの2年縛りには要注意

まあ2年に限らないのだけど、何故かここに来て、MVNO各社がWi-Fiルーターなどを絡めつつ2年継続前提のサービスを打ち出してきている。

下り最大37.5Mbpsの高速データ通信をオトクに使う!UIMカードが3枚使えるLTEが月額2930円~ 「BIGLOBE LTE」
*上記は2年以内の解約料9975円
ドコモの回線を利用した月額2880円のLTEサービス「OCN モバイル エントリー d LTE」が12月3日に登場へ
* モバイルルーターも申し込んだ場合2年以内の解約料9975円
ワイヤレスゲート、公衆無線LAN対応のLTE通信サービス
* 1年以内の解約料は38000円

これまでのMVNOのイメージで言うなら、初期手数料は3150円程度かかるにせよ途中解約金は無く、しかし気楽に止められる簡便さがあった。
語弊も込めて言うなら、たとえ性能などが悪くともリスクも低いので「安かろう悪かろう」が受け入れられやすい土壌があったと言える。
しかしここに来てそう単純では無くなりつつあるのかも知れない。

MNO(ドコモやKDDI、ソフトバンクなどの大手一次セーラー)なら上記のような酷い速度になってしまったらその影響範囲は数十万から数百万人に及ぶかも知れず、一度的では無く恒常的になれば総務省も重い腰を上げて指導に乗り出さざるを得ず、また有名な会社故に各社とも問題解決に躍起になってくれることだろう。しかしMVNOはそうではあるまい。言うなれば「玉石混交」だ。どこが良くて悪いのか使ってみるまでは分からず、それでも気軽に解約できるなら問題は無かったが、MNOの真似をし出して2年縛りなどを覚え出すと、こうした被害の影響はMNOに比べて極端に低いのでMVNO各社が無視を決め込めば、更に行政が何の救済もしないとなれば、消費者は言われるがままに無駄金を払って泣き寝入りするしか無い。

とは言え僕は日本通信とIIJmioの現時点での実情しか知らず上記の例がどうかは分からない。しかし「リスクの高い」○年縛りにはぜひ注意して欲しいと思う。

さてどうしようか

話を戻して。
日本通信は話し合いに応じるつもりは無いそうなので、残るは法的手段に訴えるしか僕には選択肢は無いのだが、これについては報告できるようならまたブログにでも書くことにしよう。
最後に、僕が最後のメールで日本通信に宛てて書いた内容を持ってこの稿は締めくくろう。

御社としては「全体としては正常かつ妥当な通信」であり「利用場所や時間帯等の通信状況に左右される」と、全体としての正当性を主張されたいようですが、実際の問題として重要なのは「ユーザー一人一人の体験」であり、そうした個々の事例が救済されないのは大変問題であると考えます。そうした個々の問題として「ベストエフォート」を免罪符にして問題の積極的な解決を図られないのは、企業として近いうちに必ず破滅を招くでしょう

まさに今、日本通信は2010年代の「Yahoo!BB ADSL」と化した。

2012-10
23
01:23:25
Windowsの64bit版のシェアが32bit版に拮抗しつつあるっぽい


仮想環境ではもう触ってはいるんだけど、そろそろWindows8に乗り換えるかどうかは結構迷いどころ。僕はWindowsは開発機兼テスト機なので割と慎重にならざるを得ません。
また同時に今もっとも悩んでいるのは「32bit版のままで行くか、あるいは64bit版に乗り換えるか」です。

もちろん利用できるメモリ量などを考えれば64bit版の方が有利なのですが、実は開発で用いているVisual Studioには32bit版しか無かったのです。と言っても64bitOSでもWOW64環境で動くことは保証されていますし、32bitOSと同じく64bitOS上のVisual Studioでも32bit/64bitアプリ共に問題無くコンパイル可能です。
ただそれでもやはり「ユーザーが最も利用している、これから利用するであろう環境で」開発することは重要と考えています。
そこで「現時点で32bitOSと64bitOSそれぞれのシェアを調べてみよう」と思い立ちました。

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