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2010-05
23
13:08:37

「ガラパゴス・ケータイ」と呼ばせたくない人々

時々このネタがTwitterのTLで流れてくるので。
よくスマートフォンに対して、「ガラパゴス・ケータイ」「ガラケー」と従来の日本のケータイを呼ぶべきではない、と主張する人たちに出くわすことがある。曰くその理由は「従来の日本ケータイへの蔑視だ」「語源のガラパゴスは単なる地名なので言葉として相応しくない、失礼だ」などというものだ。
しかしそうした主張に違和感を僕は感じるしそうした人々は本質論が得てして出来ていない。

「ガラパゴス」という言葉がささやかれ出したのはいつ頃からだったか。
僕もはっきりした記憶は無いが恐らく使われ出したのは三年ほど前からだったのではないか。
これもはっきりしないが、僕自身の感触では当時海外製携帯電話を国内に持ち込んで好き好きに弄っていたユーザー層が自分たちで持ち込んだ携帯を様々な制限で自由に利用させない日本の携帯環境と、かなり自由度の高い海外の環境の差にあきれて、外界と途絶したという意味で「ガラパゴス」と呼び出したのが最初ではなかったか。
元々そこには「日本国内で独自に異常進化した」といういい意味は含んでいなかったような気がするが、それは他の人々が語源の意味や「日本の携帯の進化具合は素晴らしい」と考える人々によって 後から追加されたように思う。

「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」はそういう意味では自国環境を憂いた自虐的な「蔑称」であろう。しかし何故それを使ってはいけないのか、自己規制・自粛しなければならないのか、さっぱり分からない。
何故ならそれほどまでに日本の携帯環境は非難され問題化されなければならない点を含んでいるからだ。

垂直統合モデルによる業界ぐるみのカルテルとも言える仕組みは競合他社を結果的に排除し競合の参入を阻んでいる。キャリア各社はこうしたモデルの崩壊を恐れ、結果的に自由度が低く競争が発生せず消費者に不便を強いている。
契約者識別IDに代表されるようなセキュリティやプライバシー問題の存在もある。10年の昔の時代遅れの技術が未だに購買モデルという重大な箇所に使用され続け、問題点や脆弱性を常に指摘されながらキャリア各社は頬被りをして問題解決のそぶりさえ見せない。
強制的なSIMロックやアクセスポイントを意識的に隠蔽しユーザーに自由に端末を使わせず全ての利用を自分たちの管理下に置きユーザーの利用の自由を阻害する。
など。

「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」とはこうした問題点を明確に言い表すための素晴らしい「発明」であったと今となっては感じている。まさしく如何に日本は多くの海外事情に比べて「異質で消費者を馬鹿にしているか」を示す名ワードである。
そういう思いがあるから僕は 「ガラパゴス・ケータイ」「ガラケー」を積極的に使う立場だ。

一方で「ガラパゴス・ケータイ」や「ガラケー」を使うべきでない、と訴える人々は上記をどう捉えているのだろう。
僕には知る由もないが、仮に問題点を理解せずに「蔑称は使うべきではない」という耳障りのいい話に流されているのだとしたら、ぜひ上記の問題に触れて自分でどうあるべきかもう一度考えてみて欲しい。
ガラパゴスと呼ばれる垂直統合モデルがどんな問題を引き起こしているか、拙作で恐縮だが以前こんなエントリーを上げたことがある。問題の一部かも知れないが概要は理解できるはずだ。
契約者識別IDは利用者のプライバシーを蔑ろにし今日では全く歓迎できるものではないが未だに日本の携帯業界は採用を続けている。海外ではこのような方式はほぼ採用しておらずまさしくガラパゴスな好例である。問題点については(技術的な部分が多いが)高木浩光氏の有名なエントリーに詳しい。
SIMロックやアクセスポイントの問題については数多くの問題点を指摘したエントリーがネット上にはあるので検索して欲しいが、拙作ではアクセスポイントについてこのようなエントリーを上げたことがある。

問題は上記を知りつつそれを隠し、本質を見せないようにしつつ言葉狩りに走っている人々だ。
それが誰なのか、とは言わない。しかし昨今の議論の中ではこうした問題点には全く触れずただ言葉狩りを訴えているだけに見える人も多くみかける。
それがキャリアやメーカーの人間であればある程度の理解は出来る。自分たちの立場も踏まえた上での発言であれば、ある程度のポジショントークもやむを得ない面はあるだろう(それでも健全に素直な議論をお願いしたいものだが)。
しかし一部のライターと呼ばれたり自称”ジャーナリスト”な人々についてはどうだろう。
上記のような論点を知らないのだとすれば全く持って勉強不足だし、キャリアやメーカーにおもねて「言葉狩り」に走るのだとしたら論外だ。

我々消費者としては言葉狩りに惑わされる必要はない。言葉は生き物だしここまで広まった言葉を否定する必要もない。「それが失礼だ」というのなら、何が何に対して失礼なのだろうか。消費者がキャリアやメーカーに何を気を遣う必然性があるのか。消費者とは独善的なまでに消費のための要求を行うべきなのだ。
それよりもぜひ気を付けて欲しい。本質に気付かれたくない人たちは常にいつの時代でもこうした些細な問題に目を向けさせ本質論を阻もうとすることに。
小さな問題に気を取られてより大きな問題を見誤ってはいけないことに。


2010-05
08
14:52:48

iPad 3Gは海外版+b-mobileの方がお得(かも)

聞いていたよりは二日も早くSoftbankからiPad発売の発表がされました。

日本ではソフトバンクモバイルが5月28日よりiPadを提供

んで最大の関心事だったSIMロックと各キャリアからのSIM提供については「SIMロック有り」との情報があり、もしこれが事実ならdocomoがiPad用microSIMを準備するとしても国内版ではキャリアはSoftbankしか選べないこととなります。
Softbankのサイトでは「データ無制限プランが月額2910円から」と謳っていますが、ここで冷静にコストを計算してみましょう。

まず価格一覧からは、本体価格が3G/16Gの場合割賦月額が2430円、24回払いですので総額58,320円となります。
次に月額利用料金は、ウェブ使用基本料 350円 + データ定額プランが4,410円で計4,760円です。ここから月月割1500円が24ヶ月に渡って差し引かれるので当初24ヶ月(恐らく2ヶ月目から24ヶ月)は月額2,910円となります。
つまり端末割賦と合算すると月額5,340円となります。また割賦と月月割を考えると約24ヶ月の「縛り」があるとも言えます。
別の言い方をするとiPad本体 58,320円に加えて月月割(24ヶ月縛り)込みなら2,910円がコストということになります。
なおプリペイドプラン(上限1G)も月額4,410円から用意されていますが月月割が適用されないのでこちらに価格競争力は無いと思っていいでしょうし敢えて選択する積極的な理由は通常無いでしょう。

さて問題はSIMロックがあるならばこのプランを選ぶしかない点なのですが、一方で既に一部で一般化しているように海外から個人輸入するという手もあります。
現状ではUSのアップルストアで誰か知り合いに買ってもらうか輸入代行業者を利用する必要があります。
USアップルストア直接なら3G/16G版で$629なので約55,000円。代行業者を利用する場合にはこれに10-15%程度手数料がかかるようです。すると60,000円-65,000円ぐらいではないでしょうか。
また6月以降となるようですが香港などでも発売が開始されると言うことでより手頃な価格で手に入ったり個人でも買いやすくなる可能性もあります。
更にこの海外SIMフリー版に日本通信(b-mobile)のSIMを使用する方法があり得ます。
そもそも日本通信はiPad用のmicroSIMを発売する予定は(まだ?)発表されていませんが社長の千田氏が「b-mobileのSIMでもiPadが動作した」とツイートされていましたので、誰も保証はしないものの、現状でもサイズカットするなどの方法でも動作する可能性があり、また近々何らかの対応を発表する可能性もあるでしょう。
問題は月額通信コストがSoftbankの場合の2,910円を下回るかどうかですが、b-mobile SIMは現在6ケ月利用で13,544円1年で27,088円で販売されており、 それぞれ月額では2,257円で利用可能です。
また実質縛りが6ケ月または一年と短いこともポイントです。

または、やはりdocomoが全く事情を無視してmicroSIMとデータプランだけを販売するというのも面白いシナリオですが、多分価格競争力は無いでしょうね。

こんな感じで、もしiPadを一年以上利用するのであれば(本体価格如何ではありますが)、海外版/SIMフリーを購入してb-mobile SIMで運用した方がお得な可能性が高いと考えています。
そもそもiPadは携帯電話と言うよりは単純なデータ通信端末ですのでキャリア乗り換えのスイッチングコストも低い方が有り難いわけで、また特に海外で現地のキャリアSIMを使いたいなどの場合は明らかにこちらの方がお得に思います。
あるいはiPadだけでなく他のPCなどとの利用も想定すれば、iPadはWi-Fi版にしておいて、データ通信はmifiのようなモバイルルーター+b-mobile SIMなどの組み合わせでもいいかも知れませんね。

なお追記しておくと、従来までであれば電波法により技適を通過していなかったり、していても技適マークが印刷されていない機器は国内での利用は違法だったのですが、最近総務省が省令を改正しスクリーンにソフトウェア的に技適マークが表示されればOKになったので。アップルが技適マークを表示するようにOSを変更すれば上記は問題なく利用できるようになるはずです。

ということで、Softbankはいつも通りに囲い込もうとしたと思うんですが純粋なデータ通信機器故に綻びもあって、プランや本体価格設定に失敗しているんじゃないかなあというのが個人的な感想です。
やっぱりもう既にSIMロックの囲い込みなんて、ボーダーレスな世の中では通用しにくくなっているわけですよ。

「でもすぐにでもiPad手に入れたいんだ」という層には別に無理に勧めませんが、多分そういう層はもう既に個人輸入とかしてるとも思うので (笑)、コストメリット面では流動的な点もあるので発売されるまでしばらくは様子見してじっくり自分なりの買い方を考えてみてもいいのではないでしょうか。


2010-04
28
06:55:51

日本のケータイWEBはどうしてこんな仕様になったのか

また高木さんが恐ろしい記事を上げている。
これまでも日本のケータイWEBの問題点は様々な人に数々挙げられてきたが、この記事の指摘は中でも最大のターニングポイントになるだろう。
ここまで破綻しているケータイID認証(簡単ログイン)
実はこの記事での指摘点には個人的にも言及したい点があるのだけど、ちょっと理由があるのでそれはまた後日にしたい。それは恐らくこの記事だけから受ける印象よりも実はこの問題はひどく根が深く影響は幅広いということだ。

日本のケータイWEBの有様は特徴的だ。特に技術的な立脚点によるものが大きいと思うが、それが「ガラパゴス」と呼ばれるゆえんであることはまず間違いない。特異な技術立脚点が海外や他キャリアとの互換性を蔑ろにし、独自な進化をせざるを得なかった(独自に進化したのではなく、せざるを得なかった点に注意)ということだ。

ではその「技術立脚点」とは何か。
僕は個人的には「パブリックなインターネットをインフラにしてクローズドなケータイ・ネットワークを作り上げること」を主眼にした点だと考えている。
以前モバツイで有名なえふしんさんがこんなことを言っていた。

http://twitter.com/fshin2000/status/9612891626
もろもろセキュリティのことまで考えると、携帯サイトはガラパゴス(国内で閉じてる)の方が良いんじゃないかなぁ。

個人的にも以前から感じていたことでほぼ同意である。
というか、そもそもケータイWEBネットワークはもともとここまでの興隆を予想して組み立てられていないのだと推察する。

以前挙げた日本のケータイWEB(モバイルEC)を脆弱に支えている三原則を再掲する。

(1) そのアクセスがそのキャリアの携帯網からのみであることをサービスプロバイダーが保証すること
(2) 携帯網では端末IDが偽装されていないことをキャリアが保証すること
(3) 端末の自由度を低くして端末IDの偽装などの可能性をできるだけ低く保つこと

これはつまり大前提として、ユーザーがこのケータイWEBに介入できるのはケータイ端末の「操作」までであって、自由な端末やアプリをケータイネットワークに接続することは想定していないということだ。
これは恐らくこういう事だったのではないだろうか。
そもそも一番最初にケータイWEBを企画する際にインターネットへの接続を行うことは当然MUSTだった。つまりインフラとしてはインターネットをそのまま利用すると言うことだ。またサービスプロバイダーを引きつけるためにはお金を生む仕組みを用意しなければならない。契約者固有IDのような課金通知の仕組みは必須である。
しかし当時セキュリティという観点ではPKIなどの完全なセキュリティ手法の導入には手間もかかり端末の性能も限られている。しかし何も行わなければインターネットという性質からはなりすましや情報漏洩はほぼ防げない。
そこで「簡単に」ケータイ側を「セキュアに」保つために先の三原則が考え出された。
つまり契約者固有IDを守るために「端末」「回線」「データ」をインターネット上からできるだけ切り離しその中にもう1つの「クローズド・ケータイネットワーク」とすることでこれら情報を守ろうという試みである。
IPアドレスでの制御であったり端末への独自アプリの禁止などといった稚拙な方法であり全くレベルは異なるが、「安直なVPN」とでも思えばいいのかも知れない。
当時今ほど日本は垂直統合モデルは強くなかったと記憶しているが、そのために端末仕様を強制したり一部のサービスプロバイダーを公式サイトと認めて契約者固有IDの取り扱いをキャリア支配に置くなど、必然的に垂直統合モデルが必然となった。

どうだろう。これは想像でしかない。しかし一定の説得力のある仮説にもなっていないだろうか。

しかし当然時代が変われば状況も変わる。高木氏が指摘したポイントも当時は想定されなかった技術的な変化故だし、またSIMフリー化の流れも微妙なプレッシャーを与えつつあるかも知れない。
ケータイWEBが変わったのではない。周りの環境が変わったのだ。一理ではだからこそケータイWEBはこのままでは変化は起こせないだろうとの諦めもある。一方で、まず間違いなくいつの日にか莫大な被害を及ぼしながら日本のケータイWEBビジネスが信用崩壊する危険性は日に日に高まっているとも言える。

だからこそえふしんさんの主張も説得力を持つことにもなる。
では現状ケータイWEBはどうあるべきなのか。
まず第一に契約者固有IDの送出先は各キャリアの認める公式サイトだけにすること。勝手サイト、すなわち「クローズド・ネットワーク」以外への送出は一切禁止とする。契約者固有IDのような「インターネット標準」ではないID送出を勝手サイトなど公式サイト以外に送出してはならない。
次に公式サイトはキャリアネットワーク(ゲートウェイ)とVPNなどのインターネット標準のセキュアな接続を行うことを必須とする。そしてこの場合のみ契約者固有IDを送出することにする。これは通信を秘匿する/通信先を限定するという意味もあるが契約者固有IDの送信先を各キャリアと限定的な「クローズド・ネットワーク」に閉じ込めてしまうという意味もある。これにより現行のあいまいなクローズド・ネットワークよりもより強固なクローズド・ネットワーク化により契約者固有IDは守られることになる。
第三に公式サイトはキャリアネットワークのVPN接続以外からの接続を受け付けてはならない。つまり通信は完全にクローズド・ネットワーク内に閉じ込めるようにする。
これらより詐称や偽装という問題は(データや処理を正しく取り扱える限り)ほぼ回避できるはずだ。

しかしこのままでは今より使い勝手が落ちユーザークレームももちろん増えるだろう。上記は現状の「ガラケー機」つまり契約者固有ID送出可能な従来の端末または携帯網用のアクセスポイント接続時に限ることにする。上記はすべてネットワークサイドのポリシー変更で可能なのでこれまでの端末はそのまま使用可能だ。
一方でスマートフォンに代表される、契約者固有IDに頼らない新しい認証や課金方式にWEB標準として対応可能な端末とアクセスポイントへの接続を共存させる。こちらは接続先には制限は設けなくてよい。何故なら純粋なインターネット利用端末に過ぎないからだ。そして時間をかけてこちらの方式への移行を促すことにする。

二方式を併存することは新方式への移行を促す期間のモラトリアムであると同時に、 自由競争を作り出す規範ともなるだろう。また明確なクローズド・ネットワークと位置付けることで、例えば未成年者用の端末はクローズド・ネットワーク対応のみとすることで例えば公式サイトしか接続できないような「キッズ・ケータイ」も可能になるかも知れない。

さて、これらのことは絵空事だろうか。全くの杞憂に過ぎないフィクションですむ話だろうか。
その答えは高木氏の指摘の行間に実は潜んでいると思っているが、その話はまた後日・・・(にできるといいなぁ。。)


2010-04
16
09:00:21

SIM Lock in Japan #2 のストーリー展開を予想してみる

* 2010/04/17に追記しました
(この記事のオリジナルは2010/4/14深夜に書かれています)

SIMロックの是非を討論する「SIM LOCK in Japan2」 16日21時からニコ生・Ustで中継

参加者:
慶應義塾大学政策・メディア研究科特別招聘教授/ドワンゴ取締役/旧docomo 夏野剛氏
ソフトバンクモバイル 取締役副社長 松本徹三氏
日本通信 代表取締役専務COO 福田尚久氏
ほか?

大体どんな話の展開になりそうか予想してみるよ。(敬称略)

周波数帯割り当てについて

松本: 総務省の先の決定は画期的。いいから800MHz帯平等によこせ
夏野: ガラパゴスの最大原因はこれ。総務省の決定には敬意を表する(でもどういう割り当てがいいかは具体的には言わない)
福田: (どっちにせよMVNOなので静観)

日本はガラパゴスなのかどうか

夏野: こんなに世界一のケータイ天国を卑下する必要はない。今だに世界が日本に注目している。世界と違うからと言ってこんなにうまく回っているシステムを変更する必要性はない
松本: (夏野に完全同意)
福田: (キャリアの垂直統合、囲い込み、サービスのキャリア間非互換性を追求)
夏野/松本: キャリアが率先して競争を行ってきた結果でありユーザーも喜んで許容している。
福田: ユーザーに選択権を与えるべきだ
夏野/松本: ユーザーは既にどのキャリアでも好きな料金体系/端末/サービスを享受できている(ガラパゴスをユーザーが受けて入れていることを前提に肯定へ持ち込む)

SIMロック解除是か非か

松本: 先日孫社長がツイートしたようにユーザーが選択できるなら対応する準備はある。我々は既にSIMフリー機を受け入れることはやっている(この受け入れ可能という意味は青天井料金プランでの接続の意味。だがここではそれは明言しない)
夏野: 端末価格が上がってまた官製不況に陥る。国がビジネスモデルに口出すべきではない。各キャリアは十分に現在でも競争が出来ている。誰もSIMロック解除で得しない。特にメーカーは疲弊する。
福田: SIMフリーにすることで海外勢含めたメーカーの競争が始まる。端末価格が上がるとは思わない。
松本: 販売奨励金が無くなる分はユーザーが負担せざるを得ない。
夏野: キャリア間のサービスも異なればユーザーサポートを誰をするのかとか今までキャリアが一貫して行ってきたことを誰が責任を取るのか。メーカーは疲弊するだけ。誰も得しないことをしても意味がない。

iPhoneやAndroidなど海外製端末は今後どう受け入れられていくか

福田: SIMフリーが前提になれば大きなシェアを取っていくことになる。そのためにもフリー化は必要
松本: (両方扱ってる関係上、SIMフリーであろうと無かろうとシェアを伸ばすとしか言えない)
夏野: 現在のガラケーは決して無くならない。日本のユーザーにマッチしているからだ。Androidはガラケー機能を取り込んでいくことになるだろう。

国内メーカーは海外に進出していけるか

夏野/松本: 無理。SIMフリーに関係なく、現在の国内メーカーには海外でやっていける能力がないから。(少しKINに絡めてシャープを誉める人がいるかも)

アクセスポイントの解放、フリー化の場合の定額プラン導入、端末IDのセキュリティ問題、 技適など認証関連法の簡素化などの環境整備問題など

多分司会含めて誰も触れず、話題に挙がってもスルーの方向にすると思う。何故ならキャリアは一番触れて欲しくないところだから。ここに触れさせなければSIMフリー化を骨抜きに出来るので。本質論は絶対にしない。

まあこんなところではないのかな。当然結論めいたものなんて出ないでしょう。
何となく流れが見える気がして、このメンバーであればあまり楽しみってほどじゃないんですよね。。まあでも見ますけど。

# なお出来ましたらこのエントリーのはてブへのブクマやTwitterでのツイートやリツイートなどは討論会が始まるまで自粛して頂けると幸いです。理由は多分その方が楽しめると思うので。当たるも八卦当たらぬも八卦ということで。
ご協力お願いします <m(__)m>

後語り 2010/04/17 00:00

あー、意外に面白かった。議論は予想できたものも多いけどやっぱり生の議論は面白いですね。
大体半分強ぐらいは当たってたかな?

印象的にはみんな夏野さんに注目するでしょうね。言っていることは後ろ向きなのに表現や論法であれだけ前向きに見せられるとか、やっぱある種の天才だわ。去年言ってたことからも論法をバージョンアップさせてましたね。
気を付けるべきところは途中で微妙に言ってることが変わった点。最初は「現時点で何のメリットもないのに何故現在からロック解除しないと行けないのか総務省の説明がないのが問題」論だったのが福田さんの「どこかで変化を起こして競争環境を作らないといけない。それがたまたま今でも良いし先と言っていたらいつ変化する環境が整うのか」という意見が出た後は「SIMロックは数ある問題の一点かも知れないけどすべてが変えられる魔法のように語られるのはおかしい」論が全面に変わってましたね。
松本さんはSoftBankという「先入観」もあると思うけど、おじいさんらしく説教臭くて話が嘘っぽいのが敗因か。夏野さんとは対照的に百戦錬磨が変な具合に熟成されているのが印象悪いかも。「キャリアの都合の押しつけだ」とこれまで気付いていなかった人にも気付かせてしまったのは失敗だったかも。
福田さんは場数を踏んだ方がいいです。冷静な方だと思うので仕方ないけど、こういう場ではエンターテイナーが勝ってしまいますからね。

議論を聞いていて、今後ポイントにすべきは、

という点に絞る方がいいと思います。逆に言うと上記については夏野さんも松本さんも動揺するポイントだったという気がしました。
今後はSIM LOCKとかは一旦止めて「環境が激変する日本の携帯業界はどこへ向かうべきか」てなテーマにした方が(という建前にした方が?)より発展的になる気がします。SIMロックだけが問題ではないというのはその通りなので。

最後にマイクロソフト 楠さん、僕の勝手な推薦にも関わらずご参加頂きありがとうございました。あの質問と論点はやっぱり楠さんがいなければ出てこなかった雰囲気ですね。よかったです。
でもあんなじじい相手なんだからもっとがつんと行ってもよかったですよ(笑)


2010-04
13
04:41:50

(追記) 続:携帯で端末ID詐称は可能かもしれない話

前回の記事について。
不用意な不安を煽るのが目的ではないので(理解できている人はできていると思うのだけど)念のため追記しておく。
では今現在auのEZ番号について差し迫った脆弱性や危険性があるのかと言えばこれはNOだと信じている。
上記を実現するためには、auの携帯網に対してスマートフォン(に限らないけど)のように任意のアプリを作成して実行できる環境を用意する必要がある。しかしこれは少なくとも現在ではかなり敷居が高い。
まず携帯網とはつまり現在の「ガラケー」を接続しているアクセスポイントから接続されるキャリア内ネットワークである。アクセスポイントについては以前の記事を参照して欲しいが、現時点ではアクセスポイント名やユーザー名、パスワードなど接続に必要になる情報は公開されていない。つまり何らかの方法でこれを入手する必要があるが僕の知る限りまだこれら情報の流出はない。
スマートフォン網であれば近々提供されるIS-NETで公開されてある程度自由に使用できるのではと思うのだが、「ちゃんとセキュリティを考慮している」サービスプロバイダーでは携帯網からのアクセスのみを許可しこの場合のみEZ番号を使用するはずなので、携帯網に接続できなければいけないことになる。
また au環境で自由に接続可能なスマートフォンや携帯端末を入手するのも難儀だ。ご承知の通りauはCDMA2000という世界的にもマイナーな方式を採用しておりまた上がりと下りで海外とは逆の周波数帯を利用している。まさしくauオンリーワンな環境となっている。従って海外のCDMA2000に対応したSIMフリー機を買ってきてそのまま使えるわけでもない。最近発表されたAndroid/WindowsMobile機のISシリーズはシャープがau向けに独自に開発したのも恐らくこうした事情から海外調達が実質的に不可能だったためだろう。
その他、例えばBREWは公式アプリしか認められていない(勝手アプリが可能ならEZ番号を詐称するのも簡単になる)とか、SIMロックもユーザーロックと呼ばれるショップで登録しないと使用できない(勝手な端末を接続させない、端末とEZ番号の紐付けを厳密に行う)とか、EZ番号は初回接続時にゲートウェイからダウンロードして決定される(これも端末管理を厳密に行いたいためだろう)など、上記を補強するためであろう施策が見受けられる。

という状況があるので必ずしも切迫した状況が放置されているわけではないと思う。しかしその一方で当然にしてこれらのうち何かが偶然であろうと必然であろうと綻びた瞬間一瞬にして脆弱な状況が生まれ得ることも冷静に理解しておくべきである。

そもそも論として、ユーザーのセキュリティに関わる問題なのだから本来は「何故携帯網は安全なのか」「どのような状況においてどのようなリスクがあるのか」各キャリアは率先して消費者に対して説明すべきだ。それをNDAなどを振りかざして情報統制することで安全を守っていると思っているのなら、思い上がりも甚だしい。本当に安全だというのならきちんと論理立てて説明可能でなければ、常に脆弱性やリスクがつきまとっていると考えるのがセキュリティ上の基本である。
SIMロック解除論議もいいけど、こういう消費者保護のための説明責任こそ法律やガイドラインで強制すべき段階に来ているのではないかなあ。


2010-04
12
00:51:38

続:携帯で端末ID詐称は可能かもしれない話

前回の記事から3年もしてから続編もないものだと思うけど、ちょっと興味深いことに気付いたのでまとめてみる。
とは言えもしかしたらこのことは周知のことであり気付いている人には目新しいことでも何でもないかも知れない。

まずは前回のおさらいから。
端末IDとか個体識別番号とかサブスクライバーIDとか呼ばれる「端末や契約を識別するために端末側やゲートウェイから送出される識別ID」が偽装できるのかどうか実験と考察をしてみた。
docomoのUTNやSoftBankのシリアル番号などのように「端末から直接送出されるID」は携帯網にスマートフォンを接続するなど任意のアプリを実行可能な環境では詐称可能なことを示した。これは例えばUser-Agent環境変数を偽装するだけなので非常に簡単だ。少なくとも当時から現在においてもこれらを認証に利用することは全く持って推奨されない。
またその時実験は行えなかったが、docomoのuidやSoftBankのx-jphone-uidのようにゲートウェイが付加する(であろうと推測される)IDについてはゲートウェイが正しく付加したり偽装を判別するならば偽装は難しいだろう、というのが結論だった。
逆に言えばもしゲートウェイが騙されるようなリクエストが作成できれば偽装も可能だろうと推測したのだが、実際そうした事例もあったようだ。

実はその後エントリーにはしなかったのだけど、自作のWindowsMobileアプリを搭載したスマートフォンをSoftBankの携帯網(WAP)とイーモバイルのEMNetでx-jphone-uidとX-EM-UIDを偽装してみたがゲートウェイでは正しく本来の端末IDに置き換えてくれた。つまり偽装対策はゲートウェイにて正しく行われているようだ。
但しdocomoとauでは環境が整わなかったので試しておらず未確認だ。

さてその前提で、面白い資料を発見した。元々端末IDに関して各社の仕様を網羅的に記した有意義な資料なのだが、特に以下の部分に注目して欲しい。

携帯3キャリア個体識別情報(uid)の特徴 から抜粋

用途
分類 UTN iモードID NULLGWDOCOMO EZ番号 SB公式UID SBシリアル番号
公式連携 × × ×
勝手サイト ×
SSL対応 × ×
URLだけで使用 ×
ログインに使用
URL漏洩時の
なりすまし防止

不向き
SSL URL漏洩時の
なりすまし防止

不向き
× ×
GW-SSLのみ

「SSL対応」という箇所がある。docomoのUTNとSBシリアル番号およびauのEZ番号のみが○である。
SB公式UID(x-jphone-uid)はSSLゲートウェイを指定すればOKだが他については全て×だ。
これは大変重要な事実を示している。

UTNとSBシリアル番号が○なのは当然だ。SSLはポイント・トゥー・ポイントプロトコルであり、つまりブラウザ (この場合は端末)とWEBサーバーが直接暗号通信することで通信が傍受されたり改変されないことを保証するからだ。逆に言えば通常の携帯ゲートウェイがこの直接通信に介入することはできない(SSLゲートウェイは端末<->SSLゲートウェイ<->WEBサーバという2つの通信を見かけ上束ねているだけだ)。
なのでiモードIDやNULLGWDOCOMO、SB公式uidがSSLに対応しないのはゲートウェイでHTTPヘッダーを付加する必要があるから、と理解することが出来る。つまり当然の帰結なのだ。

しかしauのEZ番号(X-Up-Subno)は全てにおいて○だ。SSLにも対応している。
このことから分かるのは、EZ番号は端末から直接送信しておりゲートウェイは何ら偽装対策を行っていないはず、ということだ。

残念ながら(?)、環境が準備できないので本当にそうなのか僕には確認することが出来ない。しかしSSLの理屈からはまず間違いなくEZ番号は端末から直接送出されており偽装対策はまず取られていない。

何度でも記すが、現在の日本のケータイWEB、特にケータイECを脆弱に支えているのは

(1) そのアクセスがそのキャリアの携帯網からのみであることをサービスプロバイダーが保証すること
(2) 携帯網では端末IDが偽装されていないことをキャリアが保証すること
(3) 端末の自由度を低くして端末IDの偽装などの可能性をできるだけ低く保つこと

という三位一体の原則だ。これが1つでも崩れれば信頼性は崩壊する。
しかしもし上記の推測が正しければ、ことauのEZ番号については(1)と(3)によってのみしか支えられていない。SIMロック解除論議を持ち出すまでもなく、例えばauの携帯網のアクセスポイント情報が明らかになってしまったら。そこにスマートフォンなどで任意のアプリを実行できる端末が接続可能になったら・・・? 恐らくサービスプロバイダーは偽装を見破る術を持たない。
それが現実になれば、恐慌にも似たケータイECの信用崩壊が起こる可能性が非常に高い。

様々な批判に晒される中で「それでも日本のケータイ技術は世界一なのだから」と嘯くのは自由だ。キャリアの皆さんは好きにすればいい。
しかしこんなにも脆弱な 技術に支えられたバブルをどのような理由で自慢できるのか、さっぱり理解できない。
これまで業界を支えてきたかも知れない日本のケータイ技術はすでに賞味期限切れなのだ。そのことに早く気付いて行動を起こして欲しい。
消費者を人質に取るような寡占業界故の保身はすぐにも止めてもらいたい。

2010/4/13 追記しました。


2010-03
30
01:11:50

結局SIMロック論議もオープンプラットフォーム構想も端末IDの話に尽きるのかも知れないなぁ

総務省がSIMロックの解除要請の方針を打ち出したと言うことで少し話題になっている。

携帯端末、全社対応型に 「SIMロック」解除要請へ

個人的な立ち位置を先に表明しておくと、僕は「SIMフリーも選択できるようにして欲しい」という立場。別にSIMロックを前提にしたビジネスモデルがあってもいいけど、ビジネスモデルを阻害するというキャリアの身勝手によって消費者がSIMフリーを選択できないのは問題だ、ということです。
「果たしてSIMロックがガラパゴスの元凶か」というのも論点になっているがそれは後として、 面白い論評をソフトバンクモバイル副社長の松本氏が述べているので先に簡単に触れておきたい。

携帯電話におけるSIMロック論争 – 松本徹三

皮肉なことにこの論評が述べているのが実は「キャリアがSIMフリーを排除したい」理由にもなっているという点だ。特に自身らのビジネスが如何にSIMロックを前提にしてしまっているか、気付いてか気付かずにか、大変に分かりやすく説明されている。

中段のさて、ここで問題の核心に入ります。というところまではいいだろう。ここまではまあまあ僕の上記の意見とも実は合致していて、「SIMロックもあればSIMフリーもある状況なら受け入れられる」という結論もまあ妥当だ。
しかしここから何故か「如何にSIMフリーは悪か」について説明が始まる。なお氏は「SIMロック解除がすべての端末で強制されれば」の前提で書かれているようだが本質的には「SIMフリー端末がキャリアに与えるインパクト」とも読み取れる。また先の読売の既報によれば契約から一定期間が経過した端末に限るとされている。
氏の論に依れば、日本のキャリアの端末・サービス・ 通信回線が三位一体で始めて現在のサービスが提供できるのだという。そしてそれが伴わなければ(1)各端末メーカーの互換テストが大変になる(2)キャリアにより使えないサービスが出てくる(3)3GよりWi-Fiを優先するなどの通信帯域を必要以上に使わない仕様に端末をしてもらう必要がある(4)端末助成金が無くなるので高くなる(5)(自由に使えると)不正に入手した端末の犯罪利用が増える のだそうだ。
しかし一読してもこれらを「SIMフリーが行えない」理由にするのは氏の立場を考えてもおかしいだろう。
まず(2)(4)は完全にキャリアの都合の話だ。キャリア間で互換性のないサービスを作り出してきたのはキャリア自身だ。また助成金はキャリア自身が生み出した仕組みだ。それをフリー化できない言い訳にすり替えるは厚顔無恥としか言いようがない。また(1)(3)も、では何故御社ではiPhoneを提供できているのだろう。そうであればAppleはiPhoneの計画段階からSoftbankにパートナーを決めていてテストを繰り返していたことになるが事実だろうか。決してそうではあるまい。更に言えばではこれらのことが他のSIMフリーを導入している国で問題になっているのだろうか。互換性と言うことで言えば、では何のために標準仕様(実装のためのノウハウも含む)が存在しているのだろうか。
こうした稚拙な論の最後に必ず持ち出されるのが(5)だ。「幸いにして」窃盗された端末が犯罪に使われた事例は当時大きく報道され問題化したので論としても張りやすい。しかし犯罪抑止というならそもそも携帯の存在自体が犯罪に使いやすい側面こそがあるわけで、それをSIMフリーのみに理由付けするのはおかしい。またであるなら、そもそも(PDCのような)「SIM脱却論」に発展させないのは何故なのか。つまりそこまではコストをかけたくない程度の問題意識でしかないということだ。であればSIMフリー論の足枷になるレベルでもないだろう。

ところでこの記事は「アゴラ」に投稿されている。池田信夫氏によればアゴラとは「Huffington Postのような「言論プラットフォーム」をつくる試み」であり「専門家が実名で発言することによって、政策担当者やジャーナリスト、あるいは一般市民との交流をはか」るのが目的とある。ある程度立場のある人々のあつまりであればある程度のポジショントークもやむを得ない面もあるだろう。しかしこうも露骨な「自社利益への誘導」を目的としたエントリーも許しているのだろうか。そうであればその言論プラットフォームとは何を目的としどこへ向かおうとしているのか、はなはだ疑問だ。

さてどうやらSIMフリーというのはキャリアにとっては随分嫌なもののようだ。恐らくその理由は「自らのビジネスモデルを阻害する」からだ。そして総務省が進めようとしているオープンプラットフォーム構想も随分とキャリアからの風当たりが強いようだ。これも同じく彼らのビジネスモデルを阻害するから、ということになるだろう。
ではそのビジネスモデルとは何なのか。その根本は何なのか。
そのためには少し日本のガラパゴスと呼ばれるビジネスモデルと技術的な背景の成り立ちについて考えてみる必要がある。

1999年にiモードが誕生した時1つの「発明」が生まれた。それが「端末ID」だ。サブスクライバIDや個体識別番号などとも呼ばれる。物理的にはSIMカードと紐付き論理的には契約単位や電話番号と紐付けられ、どの端末(または契約単位)からのアクセスであるかをWEBサーバー側へ知らせるために使用される。機能的にはただこれだけの単純なものだ。
しかしどの契約と紐付いているかは当然キャリアは把握できる。そして契約は当然口座やクレジットカードと紐付いている。そこで「端末ブラウザからのアクセスによる購買をキャリアが保証する」ビジネスモデルが生まれた。これが今日まで大成功と言わしめiモードの名を世に轟かせた「モバイルEC」の姿だ。その根本原理はその後10年間実は何も変わってきていない。発信された端末IDをキャリア(または公認され端末IDを受信できる公式サイト)がただ受け取り購買行為としてまとめられているだけだ。docomoに限らずその後現Softbank、現auまたイーモバイルも同様の仕組みを取り入れ公式サイトを中心に取り込んだ。
この仕組みは単純でHTTPやWEBアプリとの相性も良かったので簡単に広まった。またユーザーは4桁の暗証番号を入力するだけで(あるいは入力しなくても)購入が可能でまたキャリアの請求に合算されるのでECの付きものの敷居が低く受け入れられやすかった。
結果、日本は 世界で類を見ないほどの「モバイルEC大国」となった。
また購買に関わる以外でも端末IDは認証などに転用され、現在ではモバイルサービスを支える基盤となっている。

国際的にはこうした「端末ID」という考え方は(僕が知る限りでは)存在していない。キャリア回収モデルとしてはSMSで支払いをする、などのケースもあるようだが、多くの場合はモバイルECとはPCと同じように例えばクレジットカードを入力して行うもののようだ。
その点ではこの「端末ID型モバイルEC」のビジネスモデルは非常に優秀だったと言える。

しかし単純であると言うことは偽造も簡単だと言うことだ。例えば他人の端末IDを知り得てそれをECサイトに送り込めれば簡単に偽装可能となる。
そこでこの端末IDを完全なものにするには3つの条件が存在する。

(1) そのアクセスがそのキャリアの携帯網からのみであること。携帯網以外からのアクセスの場合には端末IDは偽装されている可能性がある。そのため各キャリアは端末がアクセスしてくるSRC IP(発信元IPアドレス)の一覧を公開している
(2) 携帯網は端末IDが偽装されていないことを保証しなくてはならない。すなわち端末IDはキャリア側ゲートウェイが付加すべきであり、例えば端末IDは通常HTTPメッセージ上に現れるがあらかじめ端末IDが付加されていた場合にはキャリア側ゲートウェイはこれを削除するか正す必要がある
(3)  端末の自由度が低いこと。例えば自由にユーザーがアプリを導入できる端末であれば端末IDの偽装を試みるアプリが開発されるかも知れない。(1)(2)を満たしていればほぼ偽装は出来ないと考えられるが、自由度を低くできればその危険性も低くできる

気付いて頂けるだろうか。この(1)から(3)を完全に満たすには、奇しくも松本氏の言うように「端末・サービス・ 通信回線が三位一体」でなければ不可能なのだ。
メーカー(端末)はキャリアの仕様に沿った端末のみを供給することで(3)を満たし、キャリア(通信回線)は(2)を満たし、プロバイダー(サービス)は(1)を保証する。
どれが欠けてもこの 「端末ID型モバイルEC」は成り立たない。

キャリア(や取り巻きのサービスプロバイダー)がもっとも恐れるのはこうした「単純な」技術に立脚したビジネスモデルが壊れることだ。これらは彼ら自身のエコシステム(必ずしも消費者中心のエコシステムでない点に注意)であり生命線だからだ。
そろそろ問題の正体が見えてきたようだ。
つまりSIMロックの議論とは純粋にSIMはロックされるべきか否かではない。キャリア側論者が問題をすり替える裏には必ず上記に繋がる何かがある。例えばSIMフリー端末が出回り、しかしキャリアの息がかからないことによって端末IDモデルを崩壊される足がかりにならないか、などの懸念だ。
また海外ではAppleに限らず端末メーカー主導でのビジネスモデルが盛んだ。これもやはり奇しくもiPhoneが日本型モデルによらずとも別のエコシステムを運用できてしまうことを実証してしまった。
キャリアからすれば「黒船携帯」はともかく、「ガラケー」だけは何としても死守したいに違いない。そのためにはSIMロック解除などと言う自分の島を荒らされる可能性のある行為は避けたいのが本音だろう。

では「ガラパゴスの本質とは何か」との問いには幾つか挙げられると思うのだけど(以前少しまとめたことはありますが)、もっとも端的にもっとも顕著に集約されているのがこの端末IDの仕様とそれへのビジネスモデルの寄りかかり方であろうと思う。
繰り返すが僕はただ自分の好きな端末を(多少の不便はあっても)自由に使いたいだけの消費者だ。キャリアやサービスプロバイダーの事情やましてやメーカーの世界進出なんてどうでもいい。しかしそうした当然享受できてもおかしくない「自由」がそれら関係各所の都合とやらで閉ざされているのであれば話は別だ。
こうした論議がオープンになされるのはこれまでの状況に比べれば全くもって健全な方向ではあるのだけど、得てして立場があったり何らかの「既得権者」との議論はまた得てして些細な各論に終始して不毛な議論に振り回されることがある。それは本質に触れられたくない人々も多いからだ。また特に気になるのは、成熟したマーケットに関わる議論だけにポジショントークが多いのは仕方がないのだけど、「消費者」という立場の人たちの声が少ないようにも感じる。
それだけに如何に議論を本質に近づけるか、そのために何を知るべきかの選択は非常に重要だと言える。そのためにもSIMロック議論だけに立ちとどまらずより広範囲な議論形成と論点整理が大切になるのだ。「賢い消費者」になるためにも。


2010-03
21
01:13:38

意外に知られていないけど香港では海底トンネルの中でも携帯が通じる

最初気付いていなくて僕もびっくりしたのだけど。
香港では地下鉄(MTR)の駅間のトンネルの中を走っている時でも海底トンネルの中でも(車での通行中も)携帯が完全に通じる。つまり基地局が地下でも完璧に整備されているのだ。
香港でも携帯キャリアは複数あるので会社によっては電波が弱いとかはあるかも知れないけど、周りで香港人がかなり頻繁に通話し続けているのを見ると(中華圏には「公共機関での携帯通話は他人の迷惑なのでしない」というマナーは存在しない)、あまり会社間の違いは無いみたいだ。
意識していなかったのであまり覚えていないのだけど、列車からそのままメールチェックしながら地上へ上がっていた覚えもあるので、恐らくカバー率はかなりのものなのだろう。
そもそも店でも携帯が通じないところは客が入らないそうなので(海外ではそういうニーズは非常に高いように思う)、さもありなんというところか。

もっとも東京都の半分の面積に700万人が暮らしている「都市国家」であるので、日本のようなより広大な国と単純には比べられないのだけど、もう少し地下での携帯網の整備は日本でも進められてもよいように思う。

地下鉄のトンネルで携帯電話やPHSを使える日は来るのかを各社に聞いた

イー・モバイル、東京メトロ全線・全駅をエリア化

翻って日本ではなんとか地下鉄の駅構内でなら使える程度。(ただし福岡地下鉄だけは地下トンネルでも整備されているらしい)
特に最近ではiPhoneユーザーで「地下鉄通勤中もニュース読みたい!情話収集や仕事したい!」って人は増えていることだろう。
通話は禁止という日本でのマナーはマナーとして守るとして、一方でデータ通信のために地下も含めてあらゆる場所をホットスポット化するというのはインフラ整備の一環からも非常に有効ではないだろうか。
すでに携帯電話というのは「通話」という機能を超えてデータ通信によるネットワーキング機器としての要素の方が重要になりつつある。生活の一部と化しつつあると言っても過言ではないだろう。そうした取り組みはキャリアにとっても決して無駄ではないはずだ。
特に土地の足りない日本では地下を開発せざるを得ないわけで、今後地下街なども含めてこうしたニーズは非常な高まりも予想される。

またもう一点見逃せないメリットとして、災害時のライフラインとしての役割がある。
近年山での遭難時などに携帯電話のGPS機能などで窮地を救われたという話をよく聞くようになった。

雪山で遭難した女性の顛末

参考: 雪山でiPhone通じねぇぞ!まとめ。

近年大きな地下鉄や地下街での事故や災害のニュースは聞いていないように思うが、もし万が一の場合、事故や地震などで乗客が閉じ込められても基地局さえ生きていれば外部と連絡が取れるというのはかなりの安心をもたらすはずだ。またA-GPSなどを活用できれば救助する側にしても現場の状況がGPSや乗客からの情報でいち早く把握でき、初期救助活動に役立つに違いない。

無駄な公共事業の見直しが話題になっているが、仮に公費や税金が新たに投入されるとしてもこうした基地局整備に使われるなら個人的には大歓迎だ。何のためなのか実感のない道路工事よりもよっぽどメリットが目に見える分かりやすい公共事業になるだろう。その上で利用するキャリアからは利用料で回収してもいい。
こうしたインフラの定義が大きく変わりつつあるということを理解し実現してくれる政治家はどこかにいるだろうか。

などということを地下鉄サリン事件から15年目となる昨日の夜、特別番組を見つつあの時のことを思い出しながらふと思った。


2010-02
16
01:51:24

Xperia X10 mini & mini Pro

Windows Phone 7 Seriesも興味深いけど、もっとも心惹かれたのはXperia mini Proだったかな。
この小ささが素晴らしい。同じくソニエリのSO902i +WPを愛用してた身としては、この小ささが大好物です。

Qwertyタイプが大好きなのでどうしてもmini Proに惹かれますが、楽しく使えそうな感じがします。

でもたとえdocomoから出てもiモード.netだのMMS入って無いだの、BTに制限かけるだのと激しく劣化しそう。。日本語環境さえ用意されるならまた海外から個人輸入にしようかなぁ。


2010-01
06
22:26:05

Nexus Oneは全世界包囲的でUS限定戦略かもね

とうとうNexus Oneが出てきましたね。

Google、自社ブランド携帯「Nexus One」発表 SIMロックフリー版も

スペックを見るとAndroid 2.1プラットフォームに1Ghz Snapdragon、3.7インチ有機EL WVGA、5Mピクセルカメラなど、革新的ではないけれど、現時点の最新機としては堂々としたものです。注目すべきはAirの対応。GSM4バンドは当然として、UMTSも2100/1700/900の3バンド対応だそうです。
つまりdocomoとSBどころかイーモバイルでも利用できる可能性があります(あくまでスペック上はですが)。

別に日本向けというわけではなくて、とにかく現時点で付けられる機能は全部付けてみたという感じでしょうか。それにより全世界で通用させたいという強い意図のようなものも感じますし、Googleらしいですね。

その一方で、メーカー直販でのNenux Oneの販売戦略はキャリアとの力関係に風穴を開けるかも知れないという見解もあるようです。
USでもSIMロックした上でキャリアが端末を開発して販売していますから日本とも通じるところがあるかも知れない。でも日本はちょっと事情が違うかも。
そもそもプラットフォームが共通化していてSIMアンロックさえすれば使える海外プラットフォームと比べて、同様のプラットフォームを持つのはSBとイーモバぐらいしかないのが日本です。個人的にはdocomoからiPhoneが出せない(出ない、ではなく)のはこうした特殊なキャリア環境にあると思っています。
つまり日本ではそうした「囲い込みプラットフォーム」まで風穴を開けないと意味がないのです。

期待しないわけではないのだけど、こうした背景を考えると日本ではちょっと期待しにくいかなぁというのが本音です。
それにGoogleの日本法人ではそんな戦略持って動かないだろう(笑 という読みもあります。

そういう意味ではいろいろ伏線は引かれてる気はするけど当面はUS限定の動きにしかならないかも知れませんね。


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