2008-11
27
06:18:00
“ガラパゴス”の定義とは


日本のケータイは本当にガラパゴス化なのか!?
こういう理解が低い記事がCNETみたいなメジャーサイトに堂々と載るのはどうかなぁ。
せっかくの議論の論点がずれてへんな話題にしかならなくなると残念。
筆者は何故ガラパゴスと呼ばれるのか、その理由を知らないんだろう。若しくは自分が言いたいことに注力するあまり興味がないのに言葉だけガラパゴスと言いたかっただけなのでは。
要するに海外含めたサービス間の互換性がないマーケットを称してガラパゴスと呼んでいるんですよ。

ガラパゴスの定義とは

■ リリースされるサービスに海外の他相当サービスやキャリア間の互換性が全くない
iモードしかり、着うたやiモーションなどのストリーミングしかり。必ずしも携帯キャリアだけのせいではないとは言え(そう言う意味では日本の官財産業界の共謀ですが)おサイフケータイやワンセグも同じこと。
逆にSMSやMMSとの互換性が無く動画音楽に関しての互換性も維持されない。
これだけ揃えば「身内でだけで如何に金を回すか」に固執していると言われてもしかたないでしょう。
■ よってマーケットの経済活動が国内に閉じこもる
実質海外の企業が日本でサービスを提供することはできません。
何故か?
だって前項が意味することは日本で端末を買って日本国内で開発とテストしないと投入できないということですから。

ユーザーがガラパゴス化からどんな影響を受けるのか

■ キャリアが提供する「キャリアが提供したいサービス」しか受けられない
各シーズンの新端末の機能を決めるのはメーカーでなくキャリアです。
同じキャリアを使う以上はそのキャリアのラインナップから選ぶしかないです。
おサイフケータイの浸透率がとか90%がカメラ付きケータイとか言いますが当たり前です。それしか選べないんですから。
■ 高止まりする端末しか提供されない
当然ですが全てが同じキャリアからしか提供されないのであれば価格統制もよく効きます。
今回新製品を買おうと思って販売店を回りましたがどこも価格は1円の違いも無く理由を聞くと「この値段は○○さん(キャリア名)が決めているので・・」とのこと。
本当なら独禁法違反だと思いますが、本当かどうかはともかく経済の仕組み上当然の帰結です。
海外では端末はメーカー各社が直接消費者に販売し様々な流通経路を辿ります。
確実とは言いませんが、より健全な流通であることは間違いないでしょう。
以前のような販売店へのリベートによる0円端末を廃止して端末売り切りにしたとたん、価格統制が強くなってきたというのはよく不健全さを表していると感じます。
■ キャリア間で同じサービスが受けられない
という状況に加えて、キャリアを変更するとその端末はそのまま使えないいかがわしさです。
理由は二つあって、一つはSIMロック。SIMカードを他キャリアの端末に入れ替えても利用できません。携帯端末が自身のキャリアのSIMカード以外を拒否するからです。これがSIMロック。
また仮にこれが無かったとしても、キャリア間の似たサービス間の互換性がない(ドコモのiモードとSBのY!ケータイ、音楽配信など)ので今までお金を払ったサービスは全て帳消しです。
キャリア間ならまだしも、同じキャリアでも端末変更すると継続できないサービスがあったり、同じキャリアに対する端末メーカー間でさえ互換性がなかったり(着うたとかね)。
■ サービスの多様化を享受できない
これだけ「囲い込み」をされると当然参入障壁は高くなります。
サービスの大部分はキャリアが認めたものでしかなく、またキャリアの目指すエコシステム(要するに金の儲け方ね)に沿ったものになりがちなのも当然の帰結でしょう。
逆にこうした囲い込みの外からのサービス提供は難しくなります。例えば海外で流行っているサービスを利用したいと思っても音楽データの互換性がない(日本の端末ではmp3が扱えない)とかサイトの互換性がないとかなどの問題を引き起こします。
実は僕もよく分かっていないと思いますが、要するに日本で流行っている携帯サービスって着うた以外に何があるの?ってことなんですが。
キャリアや産業界が挙って使わせたいサービスしか流行らないというのも非常に不健全。普通は囲い込まないとこんな状況は起こりえませんよね。
■ 日本と海外で同じ端末が使えない
最近でこそ海外で使えるGSM対応携帯なども多くなってきましたがそれでも実質的に提供されるのは海外ローミングサービスのみ。(理由はある程度理解は出来ますが)キャリアに馬鹿高いローミング代を払わないといけません。
「電話番号を変えたくない」といったニーズがあるなら少々高い費用を出してもメリットがあるでしょう。
しかしそうでない場合、一般に海外ではそうした場合海外ローカルキャリアのSIMに入れ替えてロールキャリアの端末として利用できるのが普通です。
しかし日本の端末はSIMロックがあるのでこれが利用できません。
それをするならSIMロックされていない海外端末を手に入れないといけないのです。最近ではこんなに高い端末なのに、こんなことも出来ないのです。
一般にはここを指して「ガラパゴス」と呼ぶ場合も多いみたいですね。
また海外では一般的なSMSやMMS、WAPに対応した端末がソフトバンクを除いてほぼ無いので、仮にSIMロックが無かったとしてもやはり海外で活用できる端末がほとんど無いのです。最近ではこんなに高い端末なのに!(大事なことなのて゜二度言いました)
■ パケット/データ通信やフルブラウザなど当たり前のサービスで競争原理が働かない
以前よく日本のキャリアが叩かれていたのが定額または低額でのパケット通信に関してでした。
まだPCなどのデータ定額については不満もあるようですが、最もここ数年で改善された点とも言えるでしょう。
恐らくフルブラウザやスマートフォンなどの海外を発信源にする波がなければこれは無かったはず。
とは言え恐らくキャリアは本腰を入れてやりたくないのだな、ということは下記のページを読むと一目瞭然。
ドコモ: パケ・ホーダイ ダブル
au: ダブル定額ライト
ソフトバンク: パケットし放題
普通はここまで一致させると「価格カルテルだ」との声も上がりそうなものですけどね。
パケット定額サービスなんかは最近のフルブラウザや動画・音楽サービスには必要不可欠な重要サービスのはずなんですが、それが何ら競争原理が働かないというのは、やはり働かせなくても済む何らかの仕組みが存在していると見るべきでしょう。

ついでに

ついでに書くと、そもそもおサイフケータイとかワンセグなど日本で「しか」通用しない機能を指して「進化」とか呼ぶのはナンセンス。だって、その国だけの機能がその国の端末でだけ機能しているのは当たり前だから。
一方他の最近日本の携帯が多く採用し始めた機能に目を向けると、例えばGPSはもう何年も前から海外でも採用されていたと思いますよ。(ちょっと自信なし)A-GPSもNOKIAが最初に始めてたような気が・・。日本では今年のモデルからですよね(これも自信なし)。
ま、これは総務省のお達しによるみたいですけどね。
Googleマップは、日本では今年から話題になりましたが、少なくとも一昨年には採用していた海外端末はあるし、そもそもその頃日本の端末では利用できなかったフルブラウザでなら、もっと前から利用できていたかも。
また仮に世界が日本の後追いをしているとして、では着うたとか日本そのままの方式で世界が採用しないのは何故だろう。iモードが世界市場から追い出されているのも周知ですよね。
お家芸とか持ち上げるのは無責任な話で、世界に受け入れられないと明白な技術を押しつけられている技術者のモチベーションが果たしてそれで上がるだろうか。
百歩譲って世界が後追いするとしても、少なくとも技術自体を後追いしているようには到底見えない。せいぜいサービス内容程度でしょう。悲しいことですが・・。
またまた、「iPhoneのタッチパネル機能をたった数ヶ月で追従した」ってのについては絶句です。端末の開発には1年はかかるってのは常識です。別に今年の7月から開発を始めた訳じゃないでしょう。
仮にiPhoneをまねしたとしても、去年のAppleの発表を見てからでは?

最後に

という論点ぐらいは”ガラパゴス”を枕詞に語りたいのであれば外さないで欲しい。
よく精進して、読者が持っている知識レベルに達する程度の勉強はしてから記事書いてね。出来ないんなら書かないでね > 戸口功一さんとやら

2 thoughts on ““ガラパゴス”の定義とは

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