TooT(トート)とは
いわゆる行動ターゲティング広告を提供している広告配信会社では一般的にJIAAの行動ターゲティング広告ガイドラインに沿って、行動ターゲティング広告のためのトラッキングや表示のオプトアウトページを提供しています。
しかし控えめに言っても、各社でオプトアウトの仕様や操作が微妙に異なったりまた何よりブラウザ毎に設定する必要があったりなど使い勝手の良いものではありません。
TooT(トート)はこうした状況を改善するために、各広告配信会社および主要ブラウザ横断で一括してオプトアウトを行うツールです。
開発の背景
実はアメリカのNAI(Network Advertising Initiative)というオンライン広告の業界団体では、ネットワーク広告のオプトアウトを一括で行うブラウザツールを公開しています。
最初に知ったのは高木浩光さんのツイートだったと思うのですが、我彼の差を痛感したものでした。
先日のエントリーにも書きましたが、日本であればJIAA(一般社団法人 インターネット広告推進協議会)というインターネット広告の業界団体があるのですが、こちらに「NAIが提供しているツールのようなものを日本国内向けにリリースする予定はあるか」と聴いたことがあるのですが、「検討はしているが加盟社内で調整中で詳しい内容はまだ公表できない」との回答でした。
端的に言って、同様のツールのリリースはまず期待できないだろうと考えました。
まず強調しておきますが、広告は別に「悪」ではありません。これは行動ターゲティング広告を含めてもです。どころか、広告はインターネットビジネスのエコシステムの重要な要素です。如何に健全に成長させ社会に貢献していくかは大変重要なポイントです。
しかしながら個人の意見としては広告業界自体が自分たちのビジネスがどのようなものなのかユーザーに説明する機会を積極的に持たず、それどころか如何に隠れてユーザーにそれと気付かせずにターゲティングやトラッキングを行っていくかのみに着目しているようにも感じています。
TooT(トート)がすべてを解決するわけではありません。しかし「各広告配信会社がバラバラに提供しているオプトアウト機能」を一括で実施できるメリットは大きいかと思います。何より現状ではそもそもどれだけの会社が行動ターゲティングを行っているか、またそれが分かってもいちいち数十社ものサイトでしかも使用するブラウザ毎にオプトアウトを順にしていくというのは、実質的に不可能だからです。
このあたりの簡便さも業界には求められているはずなのですが。
すべての事業者に対応しているとは限りません
残念ながら、TooT(トート)で現状対応している広告配信会社/サービスは作者が独自に検索などしてどのようなオプトアウトCookieを使用しているか調べた上で実装したに過ぎません。
その内容は以下で公開しています。
しかしそうした事情から国内の全ての事業者を把握できているとは限りませんし、また設定しているオプトアウトもそのCookieが本当に正しいかどうか全ての確認は取っていません。
従いまして上記資料などで間違いがありましたらぜひご指摘下さい。また追加した方が良いと思われる事業者がありましたらお知らせ下さい。できる限り対応させて頂きます。
Yahoo! JapanとGoogleについて
一点お詫びしなければならないのは、TooT(トート)では国内最大手のネットワーク広告配信者と思われるYahoo! JapanとGoogleについては対応できていない(若しくは不完全)であることです。
Yahoo! Japanに関してはオプトアウトCookieの利用形態が不明であったためユーザーサポートへ質問したのですが、大変残念なことに「Webで公開している以上の回答は出来かねる」とのテンプレ回答でした。
では何のためのユーザーサポートなのかと不思議なのですが、現状ではそのまま未対応にしています。
もしYahoo! Japanの方がこのエントリーを読んでいらっしゃいましたらぜひオプトアウト仕様をお知らせ頂けないでしょうか。同時にぜひこうしたサポート体制を考え直して頂けますようお願い致します。
Googleに関しても同様にオプトアウト仕様が不明なため問い合わせていますが本日に至るまで回答がありません。よって未対応としています。
こちらももしGoogle社員の方がお読みになっていたら教えて頂きたいのですが、一方でDouble Clickについては別のサイトの情報からオプトアウト可能となっているかも知れません(上記資料参照)。
しかしながらそもそもGoogleサイト本体でターゲティング広告が行われているのかどうか不明なため情報を頂けると助かります。
利用者にコントロールを取り戻すことの重要性
個人的に重要視しているのは、「利用者つまり消費者が選択肢を持つことが如何に重要か」ということです。
つまり例えば現状のような形としてはオプトアウト可能であっても実質的にすべてのオプトアウトが不可能な状況下というのは利用者は選択肢を持てない状態であると言えます。つまり「業界やマーケットが決めたこと(ここではオプトアウトすること無くすべての行動ターゲティング広告をユーザーが無条件で受け入れ続けること)」に拒否権が無い状態です。
それはすでに自由競争社会やマーケットと呼ばれる状態ではありません。
言い換えれば「ユーザーが業界から市場コントロールを取り戻すこと」が究極的にはよいプレッシャーとなって業界の発展にも繋がるし健全な発展も促進するのだと信じています。
TooT(トート)がその一助になることを願っています。
何かありましたらどうぞお気軽にこちらのコメント欄までご意見・ご要望などお寄せ下さい。