最初に再度強調しておきますが、これは「とある件 #librahack」に関連しつつも、とある関係先に再度「個人的に」「一般論」として考え方を確認してみた話です。
あくまで、 最近起きた具体的な事案についての具体的な話ではありません。
再度電話して確認したところ「あの書き方では県警が特定の事件について語ったと読まれてしまう」「あの事件について具体的に話を聞いたとの公表の仕方であれば一切お話しできない」「具体的事案についてであれば取材なので私の立場ではお話しできない。別途書面で質問を」と言われ、僕自身は「個人的にお聞きした」「一般論」と強調して書いたたつもりですがどうやら幾つかほかにも電凸があった模様もあり困惑されていた雰囲気もあり、具体的な事案情報のように捉えられるのを大変懸念されていたので、再度ここに強調してお伝えするものです。
ということで先方にお約束もしたので、ぜひあの事件からは離れて一般論的な話として、高所要所よりお読み下さい。
お話しをお聞きしたのは前回と同じ所属部署の同じ方です。という事情があったにも関わらず再び非常に真摯に長時間お話し頂きまして、大変感謝致します。ありがとうございました。
さて再度電話してお聞きしたかったのは皆さんからも少し疑問の声が上がっていた「偽計業務妨害罪には故意が必要とは書かれていない」という部分について。
基本的に議論ではなくお話しをお伺いするという姿勢で臨んでいたのと、その際僕の勘違いだっけ?などとも思ったので当時はそのままスルーしてしまったのですが、いろいろその後の議論も読み自分でも考えるにやはりここだけは聞いておかないと重要なポイントなのではないかと思ったので、本当はもうかけるつもりは無かったのですが、もう一度だけ電話して確認してみました。
ポイントを羅列しますが、あくまで僕自身の捉え方の部分でしか無いところもあるかと思いますので、その点もご注意下さい。
- 故意犯規定(刑法38条1項)では、あくまで本当に故意であるかどうかは外形上は分からない。少なくとも偽計業務妨害罪が構成要件上成立している(しているように外形上見える)のならば取り調べたり、または裁判などで証拠調べをしてその上で故意であるかが判断される
- 考えて頂きたいのは、これまでネットの中では通用してきたかも知れないが、今日においてはネットにそれほど通じていない人々もネットへ参加してきているということだ。ネット内で起きた問題や困り事を解決する手段が現時点で何か明確に用意されていますか?(「明確には無いと思いますね」と返答)そういう人たちがネットで自力で解決するのは困難なことだ。であればそこはやはり警察なりが被害者を助けなければならない。実際被害が出ていて困っている人々がいることは理解して欲しい。ネットに詳しい人だけが分かればいい問題ではない
- もし具体的に判断基準を知りたいと言うことであっても、具体的事案についてはお話しできないから示すことはできない。より深い判断を聞きたいと言うことであれば、法務省なり警視庁なりに問い合わせて欲しいが、事件は個別のもので一つとして同じものはない。(今回はファーストケース故にその事案の事実を知らないと分からないがファーストケース故に一般論では今後のことは何も言えないと言うことになりますよね、との問いに対し)そうなる。また(元被疑者の方が)情報を公開されていると言うことだが(こちらからお伝えした)それ以上の情報も当然警察はお話しすることはない。関係者以外の方にお話しすることは出来ない。なので今後どのような事案について問題になるかも述べるのは難しい。
- (これまでのネットでのルールや慣習などが無かったことになるのでは、との問いに対して)慣習は法ではない。また実際そうしたルールが完全にネットに参加してくる人たちに周知され理解されているかも問題だ。警察としては被害が出ているのならば、また他に救済策がないのであれば捜査しないといけない(多少意訳入っています)。もっとも立場の弱い人を基準に動く
- 例えれば警察は風邪薬のようなものだ。つまり事件が起こってから作用するに過ぎない。それ以前に未然に防ぐことをぜひ徹底して問題にならないようにして欲しい
- (しかしそれではあらゆるサイトに対してアクセス時(ブラウザアクセス、クロール関係なく)に了解を取り付けないといけなくなる。外形上ではどこまでアクセスが許されるかは分からない、という問いに対して)ネットをする際に常に確認しなければならないと利用を阻害するものではない。例えばYahooなどの大きなサイトへアクセスする際にそうした問題が起きる/起きたことがありますか (今後のことは何があるか分からないし、様々なサイトがあり外形上判断の付くことではないと返答) 常にネットに理解の深い人だけが参加しているのではないという理解をして欲しい。その上でエラーが出たら確認を怠らないなどの処置をして欲しいし、エラーが出続けているのにリロードを常識外れに繰り返すなどの利用は普通はしないと思う
色々話が飛んだり混迷もしたので物足りない部分や不明な部分もあると思いますが、以上でしょうか。
議論に先入観を植え付けたりこの立場からリードもしたくないので極力ここでは意見は差し控えたいと思いつつ、一点だけ。
会話して感じたのは、警察の立場でぶれていないのは「被害が出ており法律上立件が求められているのならば動くのは当然」との感触が端々に感じられたことです。会話でも一部出たのですが、「罪刑法定主義」とのことです。
一般論として(他の悪質な例で考えれば)当然でありますし、裏返せば「ネット特有とされるルールや習慣は新規参入者やネットに詳しくないとされるものに受け入れられていない・共通認識されていないという主張に対しどう抗弁していくのか」「今回の件は偽計業務妨害罪にそぐわないのだとすればどう法整備や法実務に反映していくべきか」「ネットのルールや事実をどう法的根拠付けしていくべきか(それにより、条件によって阻却事由を構成していくか)」という点かと感じます。 つまり条件が揃ってしまえば警察が動き出すのはある意味当然(当然法実務での阻却要因はあり得るとしても)という考え方かなと感じました。
少なくとも「毎秒何回までならいいのか」「業者のシステム構築能力が悪い」「業者が技術的にDoSなどではないと判断すべきだった」 論ではない(それはそれとして別の議論としてはあり得ると思います)のだと思います。上記からもそうしたことは仮に証明・釈明されても「この論法の中では」全く役に立たないことは理解しておくべきかと思います。
一般論として紐解いても、@librahackさんが20日かかっても抗弁し切れなかった要因が見え隠れするようにも感じます。
以上です。
因みに僕自身は自分なりの議論ポイントの方向性は見いだせたので、もう電話はこれ以上しません(多分)。会話内容についての疑問・質問についてはある程度お受けすると思いますが、より深い部分についてはぜひ各々で問い合わせするなどそれぞれでの出来うる範囲での行動をお勧めします。
(追記 19:55) 誤読されうる箇所の表現を何カ所か修正。ペースは変えていません