「プライバシー」タグアーカイブ

2011-10
20
12:44:55
ドコモ メディアプレーヤーによるIMEI送信に関する公開質問状(とりあえず終了)


(2011/11/19 更新)

(2011/11/18 更新)

(2011/11/11 更新)

(2011/10/29 更新)

取り急ぎ、一般向け窓口宛ではありますが個人的に以下のような公開質問状を送付しました。

やり取りが発生しましたら追記していきます。経験上、最初の回答までには一週間はかかると思います。。。

(2011/10/20) 送付した公開質問状

お世話になります。

先般貴社WEBサイトにて今秋のスマートフォンに搭載されるメディアプレーヤーよりアクセス時のUserAgent情報にIMEIが
付加されるとの発表がありました。
参考: http://j.mp/nJWr9k
これに関しまして以下ご質問させて頂きます。

1. IMEIをUserAgentに付加されることにした意図・目的は何でしょうか

2. 一般にこうしたIDに変動が無く恒久的に容易にユーザートラッキングできる問題はプライバシー上「Super Cookie」
(参考: http://www.horibemasao.org/takagi.ppt3.pdf)問題として広く知られておりますが、こうした問題について
今回どのような検討をされましたか

3. こうしたSuper Cookieが標準で搭載された場合、本来単独では個人が特定できないはずの情報が完全な個人情報として
容易に流通する可能性が高くなります。こうした問題に対してどのような対策を講じようとされていらっしゃいますか。

4. 上記の通り、コンテンツプロバイダー(公式サイトに限りません)はこれまではほぼ不可能だった利用者端末のIMEIを
容易に入手できるようになる訳ですが、これは問題あると考えていらっしゃいますか。あるいは無いとお考えでしょうか。
いずれかにおいて、その理由は何でしょうか。

5.テレビ新聞で報道されている通り「ユーザー同意無く端末情報を取得するスマートフォンアプリ」が複数見つかり
スパイウェアと批判を受けたり更に不正指令電磁的記録取得罪に問われるのではないかとの報道もあります。
これは利用者にアプリケーションの動作を正確に説明していないためですが今回の仕様について利用者にどのようにまた
どの程度のご説明をされていらっしゃいますか。

6. プライバシー問題が大きくクローズアップされている現在、今回のような仕様の導入は早急に中止すべきと個人的には
考えますが、中止されるあるいは検討されるご予定はございますか。

以上です。

なおこの質問は公開質問であり、インターネットなどによって一般に公開される旨、あらかじめご了承下さい。
またご回答はひとまとめではなく、上記一問に付き一答ずつお願い致します。

以上、大変お手数ですがご回答賜りますようどうぞ宜しくお願いします。

 

(2011/10/28) ドコモからの回答

ドコモからの回答がありました。
コメントにもありますように、その後ドコモは「IMEIはメディアプレーヤーがライセンスを取得する際のみ」であることを公表しており回答もそれに沿ったものになっています。
以下、回答を簡単にまとめます。

  •  音楽・動画コンテンツ再生時に端末を限定するためにIMEIを利用する。メディアプレイヤーではライセンスを確認する際にのみC/P側へ問い合わせる
  • AndroidであればIMEIを取得するアプリを作成することはそもそも可能。今回はその前提でメディアプレーヤーのみに限定しており、名寄せされる危険性を最小限にしている
  • 送出時には許諾画面を表示して注意喚起をしており送出しないことも可能な仕様にしている。従ってIMEIを広く収集される危険性はないと考えている
  • 現時点で仕様中止の検討はしていない

ポイントは「IMEIはC/Pサイドにも送信されうる(模様)」「ユーザー許諾を取るので問題無い」としている点となるでしょうか。

 

(2011/10/29) 再質問

当方より再度以下の内容で質問をしました。

お世話になっております。お忙しい中ご回答頂きまして誠にありがとうございました。
下記拝見させて頂きました。その上で追加にてご質問させて頂きたく、再々申し訳ありませんがご回答願えませんでしょうか。
お手数ですが前回と同じく、ひとまとめではなく一問一答にてお願い致します。
なお下記にもご回答頂いております通り、貴社WebサイトにてもIMEI送信はメディアプレーヤーでのみとなっている旨
記載が変更されている点は後日拝見致しました。

1. IMEIをPlayReadyでの端末特定のためのDRM管理キーにされている(あるいはその予定)とのことと理解致しましたが、
これはマイクロソフト殿での仕様でしょうか。若しくはドコモ殿の判断ですか。

2. 端末判別に何故IMEIが必須でしょうか。一般によく知られている手法のように、例えばUUID(C/Pごとに異なるキー。
PlayReadyで言えばドメインごとに異なるキー体系)でも十分なのではありませんか。IMEIで無ければならない積極的な
理由はありますか。

3. メディアプレイヤーの仕様としては、ドコモ殿のサイトへ接続する場合のみIMEIを送信するのでは無く、
例えばC/P殿が独自に設置された(つまりコンテンツが指定した)ライセンスサーバーでも無条件でIMEIは送信される、
ということでしょうか。

4. 3がYESの場合、全くドコモ殿が預かり知らないところでもIMEIは取得可能になろうかと思います
(例えば「勝手サイト」など)。その場合、ドコモ殿がコントロールできることでは無い以上、「IMEIを広く収集される
危険性はない」ということはあり得ないと思われますがいかがでしょうか。

5. 重ねての質問にもなりますが、「ユーザー許諾を取っている」とのことですが、具体的にはどのような周知にて
お客様へお伝えされていますか。例えば、そもそもほぼ全ての一般のお客様はIMEIが何であるのか、名寄せのリスク
とは具体的にどのようなことなのかはほぼご承知では無いでしょう。そこを十分理解して頂かずに形だけ許諾をとっても
実質が伴わなければオプトインでは無いというのがプライバシー上でも民法上でも一般的な考え方です。
先の「スパイウェア」とされたアプリでも形だけの許諾を前提にしていたため、スパイウェアとして理解されるように
なりました。
その前提で、どのようにユーザーへの啓蒙と理解を図られようとされていますか。

6. IMEIのように恒久的に値が変わらずユーザーを特定し続ける所謂「固定ID」については容易に個人情報と
結びつけやすいことから、個人情報として取り扱うべきだ、とのセキュリティ研究者からの意見もあります。

参考: http://www.atmarkit.co.jp/news/analysis/201110/27/smartphone.html

この点に関し、ドコモ殿のご見解をお聞かせ下さい。

以上です。
なお最後に、「メールの一部または全部を転用したり、二次利用することはご遠慮いただ」きたいとのことですが、
どのような根拠・理由によるものでしょうか。
既に十二分にご理解されているのでは無いかと察しますが、本件は現在ネット上含め大変注目されている
「利用者プライバシー」に関わる問題であり、社会的意義の大変大きな問題です。故に最初のメールにても
申し上げました通り「公開質問状」として送付させて頂きました。
ドコモ殿のご見解を適切に引用・周知することは社会公益の点からも大変重要と考えており、随時適切かつ適正に
引用・周知致します旨、何とぞご理解下さい。

以上となります。

お忙しい中大変恐縮ですがどうぞご回答賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

(2011/11/10) ドコモからの回答

以下、ドコモからの回答の要約です。

  • IMEIはCP様が設置されたライセンスサーバーにも送出する
  • IMEIをDRMキーとして考えているのは一部C/P様で必要とされることも想定し、CP様側にて総合的に判断・制御可能として頂けることを想定している
  • IMEIの送出契機はPlayReadyのライセンス確認時に限定され、送出時には以下のような許諾画面を表示して注意喚起し、IMEIを送出しないことも可能として、リスクを最小限化している

—————————————————————-

ライセンスを取得しますか?

ライセンスの取得時には通信が発生します。

また、その際、携帯電話の識別番号(IMEI)が送信されます。

はい/いいえ

—————————————————————-

  •  IMEIのような各種IDに関する法令上の取り扱いについては監督官庁の指導に基づくものと理解している。情報の取り扱いの重要性については十分認識しているのでお客様への注意喚起等の取り組みを行っている
  • 注意喚起として最低限の役割は果たしていると考えているが、指摘頂いた点も踏まえお客様に対してより分かりやすい形でご認識いただけるような改善策を今後検討していきたい

 

(2011/11/11) 再々質問

当方より再々度以下の内容で質問をしました。

お世話になっております。お忙しい中、ご回答誠にありがとうございました。
再々申し訳ございません。
下記ご回答を受けまして再々度ご質問させて下さい。

1.  念のためご確認させて下さい。「IMEIを送出しないことも可能な仕様」とは許諾画面で許可しないことで、
そもそもライセンス取得を行わない、ということを意味していらっしゃいますか。ライセンス取得には行くがヘッダーに
IMEIは付加しない、という意味ではありませんよね?

2. CPのライセンスサーバーではどのような仕様かは分からないものの、IMEIを送出する仕様となっている、
との理解で宜しいでしょうか。つまり実際のライセンス確認方法はCPさんにより異なるということですね。

3. これは個人的な意見ともなりますが。IMEIの送出はそもそもCPさんへのやむにやまれぬ配慮であり、
またプライバシーへの危険性についてもユーザーに今後具体的に周知・啓蒙されていくと言うことでは理解しました。
特にユーザーへの周知はぜひ形だけに終わらず具体的な施策を期待致します。
その上ででもですが、やはりIMEIの送出は正当化できるものではないと考えます。理由は既に貴社にても把握して
いらっしゃる通り、「固定IDとユーザー情報の紐付け」を前提とした仕様はいかなる予防策を講じるにせよ
プライバシー上のリスクは制御できないからです。
恐らくはCPさんからの根強い要望もあった故であり本来であればドコモ様としては避けたかった事態では無いかと
推察はしますが、今後プラットフォーマーの役割としてはそうしたCPさんらがIMEIを使わずともUUIDなどでうまく
運用できる仕組み(例えば永続的にIMEIを使い続けなくともどこかの段階でUUIDや一般的なユーザー認証へ移行する
ことは技術的には可能でしょう)を提供される、あるいはそう誘導されるのもドコモ様の責務のうちでありユーザーへの
責任では無いかと思いますが、いかが考えられるでしょうか。

4. 固定IDの利用についてはリスクがあることを重々承知してらっしゃることはよく分かりました。
しかし一方で、これはIMEI送出だけに限らず、例えばやはり同じく永続的なキーであるiモードIDでも同様かと思います。
更にはiモードIDの場合はほぼ無条件ですべてのCPさんにて取得可能であり(通知可否は選択可能なものの)、
更に昨年よりスマートフォンでも取得可能となっています。
こうした状況を前提にお聞きしたいのですが(但しiモードIDに限らず固定ID送出の取り扱い全般として)、
下記にて「法令遵守・監督官庁指導に従う」「ユーザーへの注意喚起」を述べていらっしゃいますが、
そうしたリスクを捉えつつ利用を継続されるのは施策として矛盾していませんか。
3とも関連しますがプラットフォーマーの立場において、固定IDについてはどのようなポリシーにて運用されようと
していますか。将来廃止への方向性の意図はお持ちになられますか。

5. 固定IDを如何に安全に取り扱うべきか、またどのようなリスクがあるか、CPさんにせよユーザーにせよ、
具体的にどのように啓蒙・周知をされていく予定でしょうか。例えば勝手サイトを含めてCPさん向けに固定IDの取扱規則や
ベストプラクティスを公表する、ユーザーにiモードIDなどの固定IDにどのようなプライバシー上の危険性があるかの
これまで以上に踏み込んだ啓蒙など、予定されませんか。
ドコモさんでのそうした姿勢こそがスマートフォンを中心としたケータイ・ネットワークへの信頼性を高めるものであり、
隠し続けることは逆に疑念しか生み出さないと考えるものですが、どのようにお考えになるでしょうか。

最後になりますが、必要に応じたネット上での引用・周知については十分に適正・適切に行わさせて頂きますこと、お約束させて頂きます。

以上です。長々と申し訳ございません。
お忙しい中大変恐縮ですが、ご回答賜りましたら幸いです。
では、どうぞ宜しくお願い致します。

 

(2011/11/18) ドコモからの回答

  • 「IMEIを送出しないことも可能な仕様」とは「許諾しなければライセンスを取得しない仕様」を意味します
  • 実際のライセンス確認方法はCPさんにより異なり、IMEIを実際に使用するかどうかはCP次第
  • (3-5の質問に対して) IMEIなどの各種IDの取り扱い運用方法およびお客様への周知方法を含め、貴重なご意見をいただき誠にありがとうございます。ご懸念いただいている各種IDの法令上の取り扱いにつきましては、監督官庁の指導に基づき今後の対応の参考とさせていただきます。前回も同様の内容をお伝えさせていただきましたが、今回ご指摘いただいた点も踏まえ、情報の取り扱いについては十分に注意する必要があるということは認識しておりますので、引き続きお客様への注意喚起などの取り組みを行ってまいります

基本的には、まず問い質したかった「固定IDへの考え方・取り扱い方針」については回答拒否ですね。まあもう固定IDを送出しているのは事実なので答えにくいでしょう。但し懸念の表明という点では達せたかなと感じています。
ドコモ的にはこのあたりが限界なのでしょう。

別途、質問ではなく要望という形で先方には伝えて本件はとりあえず取り纏めということになるかと思います。

 

(2011/11/19) 要望送付

まとめとして以下を送付しました。

ご回答ありがとうございました。
全てのご質問に付き明確なご回答頂けなかったのは残念ですが、ご事情はお察し致します。
ご質問という形でさせて頂いて参りましたが、本日はドコモ様に対する「ご要望」として以下お聞き頂ければ幸いです。

1. 固定IDに関しての利用者への啓蒙

既に述べられていらっしゃいますように、今後注意喚起などの啓蒙を行われるということで期待しております。
現状固定IDでのプライバシーリスクについてはキャリア様から発信された情報はほぼ無く、
主に民間のセキュリティ研究者や団体が発信する内容ばかりです。キャリア様としてしっかりと正確に啓蒙・
注意喚起されることを期待しております。特に、正確に事実を利用者が理解しない限りはどのような許諾を得ようと、
恐らく法的にも意味をなさない点にはぜひご留意頂きたいと思います。

2. プラットフォーマーとしてのCP様への指導

あくまでCP様は対等のお立場のビジネスパートナーであることは承知の上で申し上げますが、
これまで頂いた回答をまとめると、結局のところはCP様が固定IDによる名寄せや利用者の了承を得ない
情報取得があれば、如何にドコモ様が「リスクをできるだけ低くしている」と主張されても全く意味を
なさなくなってしまうことはご理解されているかと思います。
つまり如何にして、利用者と同じくCP殿(勝手サイト含む)を教育し啓蒙していけるかが、
「リスクをできるだけ低くしている」との主張を現実的なことにできるかの鍵かと存じます。
こうした仕組みを広く提供されている以上、ドコモ様がどのようなお考えであろうとも世間では
ビジネスモデル全体に責務を負うべき「プラットフォーマー」として見なされるべきかと思います。
自由にCP殿にビジネスをして頂くことは重要でしょうが、一方でCP殿に「正しく」ビジネスをして
頂くように仕向ける責務をドコモ殿は負っていらっしゃるのだと考えます。
また例えば固定IDが必要と主張されるようなCP殿にはドコモ様自ら必要なくとも実現可能な
ソリューションを提供されるなど、そこまでのご認識と責務は負われるべきかと思います。
で無いのであれば、それは所謂「土管業」と何ら変わらなくなるからです。
こうした点が欠けていたからこそ所謂「かんたんログイン」の問題は起きましたし、
それを解決させたのはプラットフォーマーであるはずのドコモ様では無くまたCP殿自らでも無く、
市井のセキュリティ関係者の啓蒙でした。
しかしそうした「異常な」状況をこれ以上続けるべきではありません。

3. 固定IDが前提となるビジネスモデルの廃止と移行

一点ぜひ認識して頂きたいのは、これらプライバシーやセキュリティのリスク(たとえ低い可能性で
あるとしても)を背負うのはドコモ様でもCP殿でも無く、利用者自身だということです。
しかも利用者にそのリスクを避ける選択肢はほぼありません。
これは1,2とも関わることですが、故にプラットフォーマーとしての責任は重いと言わざるを得ません。
IDに関わるソリューションとしては様々取り組まれていると思いますが、固定IDビジネスは一般的に、
これまでのフィーチャーフォンのような「閉じた世界」では有用であったとしても、
スマートフォンが前提とする素のインターネットの世界では非常に脆弱です。
これは十二分にご承知の通りかと思います。
しかし未だ固定IDに引きづられるビジネスモデルがあるのだとすれば、スマートフォンへの移行という
この絶好のタイミング無くして廃止と移行のタイミングは今後存在しないでしょう。
ドコモ様ではiモードIDという古い固定IDビジネスの一方で、ドコモIDというインターネットとの
親和性の高い技術モデルもお持ちになっており、決して不可能なことでは無いと感じています。
繰り返しになりますが、これは選択肢を持てない利用者保護の観点からも、
強くドコモ様自身が推進されるべき方向性では無いかと存じます。

以上となります。長々と失礼致しました。
ぜひご検討頂き、技術関係者様・ビジネス関係者様含めて、上記ご回覧頂ければ幸いです。
またご意見・ご回答なども頂ければ嬉しく存じます。
末筆ながら貴社の益々のご発展をお祈り致しております。
以上、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

とりあえず一連の質問は終了とします。

別途まとめのエントリーを後日アップする予定です。

 

 

2011-02
16
20:45:48
続々: 楽天銀行アプリのセキュリティについて – 結局UDID送信は中止しないし使用理由開示も行わない


前々回前回の続きをご報告したいと思う。
かなりあれから時間がかかったが、結論としてはシンプルで楽天銀行および楽天CERT・楽天グループとしてはUDIDの送信は停止しないし、また何故送信しているか、どのように利用・管理しているか は「当行不正取引防止システム運営の機密事項」のため一切開示しないとの結論であった。
以下、その詳細。

Continue reading