2010-12
28
17:26:13
2011年の展望ベスト10を僕も考えてみた


年末だなぁ。ってのはやけにテレビが面白くて感じることが多いですよね。

ということでふと気が向いたので僕もちょっと来年2011年(あるいはそれ以降?)に起こりそうな変化というか展望についてちょっと考えてみました。予想と言うほどでもないしもちろん予言でもなく、僕自身が期待している分野の話と言うことで。
因みにモバイル・IT混在です。

1. IT業界勢力のモバイル分野浸食

これは今でも起こりつつあることですが、例えば表面的にはモバゲーやらGREEやらが「ガラケーではなく」スマートフォン市場への進出という意味ですが。
ただ表面的にはそうなんですが、同時にPC分野で培われた技術力とか開発方法、思想と言ったものも同時に浸食していくことになるでしょう。これが何を意味するかと言えば、これまでのケータイ市場で主流だった「ガラケー的」な開発手段や工程その他をIT業界的なスピード感と「中立性」で推し進めることになるでしょう。
従来ガラケーで主流であったサードパーティーやキャリア自身のサービスがこれに埋もれていき、それまでの常識や力関係が混乱する事態がありえるように思います。
個人的には良い意味での「融合」でもあって欲しいですが、現実には幾つかの買収劇と「ガラケーがスマートフォンサービスを追う」展開が訪れるのではないでしょうか。
そしてその圧力はキャリアにも降り注ぐことになるでしょう。

2. コグニティブサービスの伸長

コグニティブ」とは聞き慣れない言葉かも知れませんが、具体的にはNTT東/西の提供する「光ポータブル」などのモバイルWiFiルーターのように有線LAN/無線LAM/公衆無線LANサービス/3Gなどのモバイル通信その他に対応して自由に回線を切り替えられるサービスです。
定義上は単に切り替えるだけではなく電波干渉やリソースの効率化なども考慮して動作する無線技術のようですが、ここではもう少し広く捉え、簡単に言うと「いついかなる状況でも利用者をオンラインにするモバイルルーター」的な捉え方をします。
これも既に注目されつつありますが、利用者の持つWiFi機器を場所を問わずオンラインにする「常時接続性」という点だけではなく、利用者からすれば無駄に複数の回線を契約させられている状況を1回線にまとめ上げられるまたと無いチャンスでもある訳です。
特に近年では通話よりもデータ通信が特に重要視されるようになりました。そのような状況の中では端末は単にデータ通信特化すればよい、なので保有回線をできるだけ絞り込む、という風潮は強くなることでしょう。
もしかすると全体の契約回線数にも何らかの影響は出るかも知れませんね。

3. ネットの中立性とプラットフォームの中立性

海の向こうでは「ネットの中立性」という言葉が騒がれるようになってきました。これは「通信経路(つまりインターネットでありそれを提供するISP)はそれを利用するネットサービスを差別的に扱ってはならない」という不文律(これまでは)です。例えばあるネットサービスが膨大なトラフィック負荷をもたらすからと言って利用制限をかけるなどすべきではない、自社に不利などの理由によってコンテンツ内容へのアクセス制限をしてはいけない、などのルールです。
ただこれはISPとコンテンツプロバイダー(WEBサービス)が水平分散されているからこそ意味のあるルールとも言えます。
翻って日本ではケータイ業界を例に出すまでもなく、光回線などでも現実的にNTTとKDDI系などに分断されそれぞれが自社回線を前提にしたサービスを展開しているなど「垂直統合」が大前提になっていますから、日本でネットの中立性という話をしても(概念的には意味があるとしても)実態的にはさほど大きく問題が顕在化することは少ないでしょう。
一方でプラットフォームについては、先のモバゲーとGREEのさや当てのように、または海外勢各社プラットフォーム(GoogleとAmazon、SAPなどとのクラウド戦争など)競争など、幾つかの端緒が垣間見られるようになってきました。
思えばIT業界の歴史というのは、こうしたその時代時代での「プラットフォーム競争」の繰り返しだったと言えます。
古くは汎用機のOSから始まって、UNIX、PC、ブラウザ、モバイル端末、そして今はネットサービスへその主戦場を移してきました。そのプラットフォームでの戦線が爛熟化すると次のプラットフォームが生まれまた新たな競争へ移り変わってきた印象があります。
察するにネットサービスにおいても同様の戦いが予想されるのですが、一方ではネットサービスはこれまでと比較にならない多くのユーザーの命運を握るまでになっており、同じ歴史の繰り返しに見えつつ実は社会的インフラという側面を非常に強く持つに至っています。
それを単に営利企業の競争として放置されるべきか、あるいはインフラという側面から「中立的な」責務を課すべきかの議論も生まれ得るのではないでしょうか。

4. ガラケー機能の衰退

以前にも書いたことですが、「ガラケー機能」という側面は来年いっぱいでほぼ収束するでしょう。それは重要性が低下すると言うよりも、スマートフォンとの力関係の逆転という観点からです。
例えばスマートフォンではほぼ間違いなく来年NFC搭載端末はiPhoneも含めて一般的なものになるでしょう。同時に各社対応サービスが世に出てくるはずです。実際そのタイミングをベンチャーや国際ブランドクレジットカード各社が虎視眈々と狙っていると思います。そうした状況があれば当然各社のおサイフケータイへのコミット具合にも「様子見」という観点での抑制がかかることは十分予想できます。
そしてまた力関係の逆転にはユーザーの意識変化も見逃せません。「スマートフォンでは使えるのになぜガラケーでは使えないのか」という印象にユーザーの意識が逆転していくように思います。
スマートフォンで便利なアドレス交換アプリが一般的になればガラケー利用者はその輪に入れないことが不満となるでしょう。自宅のDVD/BDプレーヤーまたは地デジやBS放送を外出先でも見られるサービスが一般化すれば、やはりガラケー利用者はそれをガラケーへの不満と見るでしょう。こうした「進化するサービス」については確実にスマートフォンが先行するからです。
もちろんガラケー機能とはこうしたものだけではありません。iコンシェルなどの情報サービスや各種パーソナルサービスもあります。しかしそれが「ガラケーでなければならない」理由たり得るか。
PCでもまたスマートフォンでもたった一つのサービスが一夜にして業界地図を大きく塗り替えることはこれまで何度も繰り返されてきました。多くの投資を必要としリソースと時間を投入する「ガラケー文化」とは大きく異なるのです。
ユーザーへの訴求という点でどちらが優位に働くかは自明でしょう。
こうした殻を破れない限り、現状のガラケー機能はどれほど浸透していたとしても衰退へ向かうとしか思えません。

5. 通話は重視されなくなる

2にも関連することですが、通話というコミュニケーション手段は徐々にデータ通信に取って代わられることでしょう。
米国では既に若い層ではメールが重視されないという調査結果がありましたが 、日本においてもできることならTwitterやSNSなどのコミュニケーションサービスで連絡を取り合いたいという風潮は日増しに強くなってきていると思います。
また2を前提とするなら通話料金のかかる通話よりはできるだけ定額データ回線を使ったコミュニケーションに統合したい、というのは当然の帰結かと思います。通話は「かなり必要に迫られて電話でないと問題がある」局面のみに絞り込まれ、また風潮としてそうした局面は徐々に少なくなる意識に変わっていくのではないでしょうか。
またコミュニケーションサービスに限らず、当然VoIPも「通常通話回線」を用いた通話に取って代わることになるでしょう。キャリアがそれを望む望まないに関わらず、ユーザーはそれを選択しつつある、ということです。
そうした傾向は更に2のコグニティブな状況を推し進め、キャリア(ISP, 固定事業者)にとってもインフラ負荷への観点からコグニティブ環境への投資を推し進めざるを得ないインセンティブ化していくことでしょう。

6. 「勝手」携帯の増加

来年春にドコモがSIMフリー化を宣言していることもあり、春には再度SIMフリー論議が巻き起こるでしょう。
しかし個人的にはSIMフリー議論は実質的にもう今年で終結しており、来年は実質的にフリー端末が自由に大手を振って広く使われ出す年になるのではないかと思っています。
一つのヒントは最近の日本通信の動きです。
例えば今電波法に引っかからず大手を振って自由に使用できる端末の代表格はiPhone4とiPad(3G版)の海外で販売されているSIMフリー機です。日本通信はこれを輸入代行業者と組んで国内流通させる方策をとりました。また最近のIDEOSの販売もこれと全く同じ考え方です。
これらはMVNOとは言え通信キャリアが関与している例ですが、例えば別にiPhoneのような「グローバル端末」であれば個人でも同様の利用ができる訳です。そして一応果たして各キャリアがどのような対応をするかはまだ不明な部分もありますが、自由に端末を選び自由に契約キャリアを選ぶ時代は既に到来しています。もしもLTEという標準技術でキャリア間の差異が埋められるならばよりその傾向は強くなるでしょう。
「二年縛り」「コンテンツはキャリアに縛られる」「気に入った端末が自分のキャリアから出ていない」ことに不満を覚えており、こうした方法もあることに気付いたユーザーはどういう判断を下すでしょうか。
問題は技適のみなのですが、今後日本通信のようにアクロバティックとは言え閉鎖された日本市場に一定の参入価値を見いだしてグローバル端末を供給するメーカーが現れないとも限りません。
繰り返しますが、このシナリオはキャリアがSIMフリー端末をどう受け入れるか、回線のみの開放をどうするか如何です。しかし「スマートフォンとガラケーの価値の逆転」と述べたように、それがARPUを押し上げるのだとしたらキャリアも対応せざるを得ないでしょう。そういう意味では個人的には楽観視しています(そういう意味では「ドコモさえ」対応すればほとんどのユーザーは納得すると考えるからです)。
このシナリオ通りに進むかどうかは「端末の国内向け供給如何」となるでしょう。

7. 汎用的な課金サービスの一般化への動き

現状で最も予想しにくい分野動向ではあるのですが、しかしインターネット全般において最も必要とされながらこれという決め手に欠けているのがこの課金サービスでしょう。
海外を中心に(Paypalなどもありますが)ベンチャーなどでモバイルも含めた少額課金サービスも幾つかあります。しかし業界横断的に動きが鈍かったこともあって(というより市場の不透明さ所以でしょうか)あまりまだ注目もされなければ定着もしてきませんでした。特に海外ではモバイルならキャリアがSMS送金なども手がけていますし、クレカのネット利用も一般的ですからそれほどの切迫感も無かったのでしょう。またもちろん日本ではモバイルECが定着していますから今更の話でもある訳です。
しかしPCもモバイルも含めたネット全体での課金サービスという点ではこれまで決め手になるようにものはありませんでした。
そこで期待されているのがNFC対応端末と言うことになるのでしょう。日本は蚊帳の外ですが海外ではVISA/Masterといったクレカ陣営がPaywave/PayPassといった非接触型チップをカードに組み込んだサービスを順調に拡大しています。NFCとの連動実験も頻繁に行われていることからモバイルに関してはNFC端末の本格的な展開とともに実用化も同時にアナウンスされることになるでしょう。
一方PCも含めた課金サービスという点では不明瞭ですが、やはりNFCやスマートフォントの連動で、特にクラウド的なサービスも十分考えられます。ここでも主役になるのはVISA/Masterといったナショナルブランドとも思いつつ 、Paypalのような独立系が指をくわえて見ているとも思いません。Paypalが仮にNFC対応端末サービスを発表しこれまでのサービスと統合するとかなり面白いとは思うのですが。
ここで4と関わりますが、では日本ではどうなるかが大変興味深いところです。
もしスマートフォンの常識がガラケーのそれを凌駕する方向で進むのなら、おサイフケータイ各社は方針転換を余儀なくされるでしょう。事業清算まで含めて可能性があり得ると思います。
ここで述べたことは来年中で起こることではないでしょう。もし少し時間がかかることではあるのでしょう。
しかし今後のネット社会においてどのような勢力図が生まれそうかは、来年中である程度明白になるのではないかと思います。

8. IPv6移行の影響

これもNTTのNGNのプレフィックス問題(簡単に言うとIPv6経路はNTTが閉塞的に独占しておりISP各社の存在価値が無くなるかも知れない問題)などがまだ燻っている最中のようなので予想しにくいのですが、確実であるのは2011年中には日本においてもIPv4は枯渇し新たに割り当てられることは無くなる、ということです。
これは大変なことで10年以上前から重々理解されていたことなのだけれど、様々な理由から今に至るまですっきりとした解決に至っていません。
書き出せば1エントリーどころか本になるぐらいの量があり、また僕自身も正確に把握できているか確信がないのだけど、利用者からすれば端的に言うとIPがISPやキャリアから払い出されずネットワークに接続できない問題に繋がります。
実のところは恐らくISPやキャリアは既に現在の利用者に見合ったIPv4アドレスは確保しているでしょうし当面は問題は(利用者には)表面化しないでしょう。
実のところiOSは4からIPv6には対応していますしAndroidもLinuxベースですので(恐らく)IPv6になってもさほど大きな問題はないでしょう。無論デスクトップOSについてはかなり以前から対応を進めています(但しアプリによっては問題が出るかも知れません)。
そう考えると結局はISPやキャリアがどのタイミングでどのような方法でIPv6に積極的に対処するか、ユーザーにも影響が出る対応へ踏み切るか、如何と言えるでしょう。
個人的には実は、特にケータイキャリアは現時点でまた来年においても大きな判断や対応を行うとは思っていません。前述の通り現状では十分なプールを保持していると考えられるからです。また現状で問題なく動いているシステムに大きな改修を行うようなことは「保守的な」キャリア/ISPではまず行わないでしょう。
従ってIPv6移行論議が本格的に巻き起こるのは、IPv4枯渇を原因とした何らかの大きな事故(キャリアグレードNATが溢れるとか、AlwayOn端末が膨らみすぎたなど)が発生してからであって、来年もしくは再来年以降かも知れませんが必ずそうした事故が起こるだろうと予想するものです。

9. マルチ開発環境の一般化

JavaScriptではjQueryという素晴らしい開発フレームワーク(ライブラリ)があり、一世を風靡しています。このiQueryがこれだけ開発者に受け入れられたのは使いやすさ(コードが簡潔になる)以外にも、マルチブラウザ対応という点が大きかったのではないかと思います。何も考えずただjQueryで開発するだけでIE6/7/8、FirefoxにChrome、Operaなど各社ブラウザでの差異を吸収してくる訳ですから。
同様に現在はブラウザのみならず、iOSやAndroid(場合によっては来年からはWindows Phoneも)などマルチデバイスの時代となっています。それぞれ向けのアプリケーション開発は煩雑にならざるを得ないしリソースもコストも学習の手間もかかり、何より致命的なのは他プラットフォームへの展開にはそれだけ時間がかかるということです。またモバイルだけでなく近年ではMac OSXの存在感も見逃せなくなってきています。
一例としてTitanium Mobileという製品があり最近お気に入りなのですが、これはJavaScriptでiOS/Android/BlackBerry向け「ネイティブ」アプリ を同時に生成するという製品です。ごく最近IT業界では急に話題となっています。また同系列のTitanium Desktopという製品では同様にJavaScript+HTML5でWindows/Mac OSX/Linuxに対応したアプリを生成できます。
もちろん理想通り全くプラットフォームを意識せずに作れることはなくプラットフォームごとの調整は必要なのですが、とは言えそろそろ開発関係者がこうしたマルチデバイス/マルチプラットフォームな状況への対応に疲れてきていることは見て取れます。
またマルチプラットフォームという点では、AdobeのAIR(もしくはFlash)は有名で多くの開発者を抱えていますし、マイクロソフト自身もSilverlightをこうしたマルチプラットフォーム対応として売り出そうとしています。
これらに限らずこうした「統合開発環境」はブレークして一般化していくのではないかな、と思っています。

10. クラウド、クラウド、クラウド!

最後に。これは別に僕が言うまでもないことですが。。。
例えば先日、Motorolaがクラウド型ストレージサービスのZumoDriveを運営するZecterを買収するニュースが流れました。
ZumoDrive自体は別にMotorolaに買収されるまでもなくマルチプラットフォームでストレージサービスを展開していた訳ですが、Motorolaからすればこうしたクラウドサービスが自社端末の魅力向上に貢献すると判断したのでしょう。
またZumoDriveは単なるファイル単位のストレージサービス(但しiTunesとの連携など面白い側面も持っている)ですが、端末と同化することで端末やアプリのバックアップサービスなどより広いサービス展開が出来るようになるかも知れません。例えば先日閉鎖問題の持ち上がったXmarksのようなものなどですね。
「クラウドに対応せねば携帯端末にあらず」そんな時代を予感させます。
僕はそういう観点からもガラケーの衰退を感じ取るのですが、いずれにせよ今後の携帯端末はローカルの機能とクラウドサービスが深くまたは緩やかに結びつくことでユーザー利便性を格段に向上させることになるでしょう。
逆に言えばそうした対応の出来ない端末やサービスは緩やかに衰退していくことでしょう。
そうした「クラウド絶対主義」が明確化される年になるのではないかと思います。


当たるも八卦、当たらぬも八卦ということで。
来年が皆さんにとってよりよい年になることをお祈りしています。
今年以上にエキサイティングで興奮できる楽しい年になるといいですね。

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