2013-05
08
03:53:48
国民生活センターが言い訳としてのベストエフォートを問題視し始めた


先月国民生活センターが注意情報を発表した。

モバイルデータ通信の相談が増加-「よく分からないけどお得だから」はトラブルのもと!-

(全文/PDF)

MNO/MVNOでの契約や販売時のトラブルについて寄せられた苦情をまとめたもので、最近頻繁に聞くキャリアショップ店頭での抱き合わせ販売なども掲載されているが、本稿では特に本ブログでは日本通信(b-mobile)で問題視してきた「ベストエフォートでのトラブル」に注目したい。

ベストエフォートなど通信速度や品質に関する問題は以下のようにまとめられている。

通信エリアの問題
事例6:つながるエリアと確認したのにつながらなかった
事例7:LTEのサービスはまだ始まっていなかったのに使えると説明された
事例8:三角印で表示されたエリアではつながらなかった

通信速度の問題
事例9:広告の速度と実態が大きく違った

事例9を抜粋してみよう。

【事例9:期待と異なる通信速度】広告の速度と実態が大きく違う
昨年モバイルデータ通信の契約をしたが通信速度がせいぜい 200Kbpsくらいとかなり遅い。基本ソフト(OS)のアップデートも途中でできなくなってしまう状態である。ホームページには受信速度 7Mbpsなどと書かれているが誇大広告ではないか。通信事業者に問い合わせると「ベストエフォート なので」と言われた。無線LANルーターで電波状態はいいと確認しているので、そもそも回線を確保していないのではないかと思う。改善されないのであれば解約したいと事業者に申し出ると、2 年契約なので途中解約の場合は解約金が 3 万円くらいかかると言われた。高すぎるのではないか。納得できない。インターネット上に私と同様の不具合に関する書き込みも多数ある。
(2013 年 1 月受付 30 歳代 男性 給与生活者 福島県)

これはどこの事業者なのかは分からないが(恐らくはMVNOではないか)実は僕自身が日本通信で経験した低品質問題と非常によく似ている(但し日本通信は私の場合せいぜい100Kbpsで遅いと10kbps程度だったが)。
曰く通信速度が想像以上に低すぎ仕様に支障がある、改善や(無償)解約に応じない、ベストエフォートを盾に取る、点などである。

僕自身も今年1月頃に地元の国民生活センターと総務省へ問い合わせしてみたがいずれも「ベストエフォートと謳っている以上(低品質の)明確な基準が無い」との消極的な姿勢であった。
しかしこの発表資料ではそこから数歩踏み出しており、「問題点や課題」として「実際に利用するまで品質が分からない。「ベストエフォート」型のサービスであり、必ずしも消費者の期待通りにならない」と明確に定義しており、また「事業者への要望」として

3. 何らかの方法で事前に通信状況が試せるようにするか、消費者が申告した利用場所でつながらない・つながりにくい場合には、消費者の負担がなく解約ができるルールの検討をすること
4. 通信可能エリアはより分かりやすく、通信速度はより実態に即した表示にすること

を挙げている。
すなわち、これまでベストエフォートである以上踏み込めなかった点から踏み込んで「それでも問題はある」と認め、強制力は「まだ」無いにせよ、事業者へ「事前の十分な予防策」とともに「解決のためにたとえ無償でも解約できるように」求めているのである。
これは大変大きな前進と言えるだろう。すなわち、それだけ多くの苦情が寄せられているのだと言うことが想像され得る。

以前の記事へ寄せられたコメントやTwitterで観察している限り、例えば日本通信は未だに回線速度を改善もせずに苦情に対してはベストエフォートを盾に詭弁を繰り返している模様だ。
日本通信のみをターゲットにしたわけでは無いだろうが、そうした事業者の消費者を蔑ろにする態度への大きな鉄槌と言えよう。
と同時に、本当に「実態に即した速度性能表示」が義務づけられ「消費者の負担無く簡単に解約できる」ことになれば、特に「安かろう悪かろう」で乱立気味のMNVO各社は整理を迫られることだろう。
恐らくこの発表は観測気球のようなもので、これで改善が見られなければ総務省なり消費者庁なりで業界の自己努力で無く強制力を持った施策が図られることになるのでは無いか。
果たしてその時日本通信は生き残れるだろうか??

日本通信に限らず、この発表資料では要望先として電気通信サービス向上推進協議会を、情報提供先として消費者庁消費者政策課・総務省総合通信基盤局消費者行政課・消費者委員会事務局を挙げている。また最寄りの消費生活センターへの相談も勧めている。

恐らく現時点で非常に数多く存在すると思われる「被害者」の方々、または泣き寝入りをしている方々はこれを機に相談や通報をしてみてはどうだろうか。

 

参考:

全くもってオススメしない、日本通信の2年縛り実質0円LTEルーター付きパッケージ
日本通信株式会社殿への公開質問状

2 thoughts on “国民生活センターが言い訳としてのベストエフォートを問題視し始めた

  1. 私もベストエフォートにやられました。説明不足で、契約をしました。話が、違うから解約したいと言ったら、録音してるからとか契約した以上解約はできないとか、違約金を払えば解約できますよとか、態度が全く最初と違う。契約した以上どうであれ解約はできないと言われた。NTTの代理店と言うので、信じてしまった私がバカなのか…今後NTT事態も信用を落とすことと思う。国民生活センターへも相談したが、再度強く言って、それでもだめなら調停しか無いと言われた。本当に何を信じていいのかわからない時代です。

    1. 御心中お察しします。
      当方もベストエフォートを盾にされました。

      当方は、キャンペーンのセールス電話を受けて10Gの速度が可能という事で既存の契約を10Gに変更しました。
      当初、無料お試しやキャッシュバックなどもあり、「嫌なら、元の契約にもどせる」との事で契約変更をしたのですが、実際には速度が体感的になんら出ていない事を不審に思い調べてみたところ、所有PCのLANポートが対応していなかった(現在市場のPCのLANポートには10G対応はほぼ無い)。

      しかし、契約時には自分の環境も伝達していて設備の確認をしていただいていたにもかかわらず「10Gの契約が可能で、1Gよりも早くなる」と回答を受けていました。

      それゆえ、その旨を問いただし追求して、ようやく元の契約に戻せると思ったが、解約金を払えとか、通信速度は元の速度への変更をしてもらいましたが、本質的には以前のプランには戻されておらず、変更以前のメリット(契約における割引額など)が無くなってしまいました。

      今もプロバイダと係争中です。
      ちなみにコミュファ光という地域限定の企業です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください