先月国民生活センターが注意情報を発表した。
モバイルデータ通信の相談が増加-「よく分からないけどお得だから」はトラブルのもと!-
(全文/PDF)
MNO/MVNOでの契約や販売時のトラブルについて寄せられた苦情をまとめたもので、最近頻繁に聞くキャリアショップ店頭での抱き合わせ販売なども掲載されているが、本稿では特に本ブログでは日本通信(b-mobile)で問題視してきた「ベストエフォートでのトラブル」に注目したい。
先月国民生活センターが注意情報を発表した。
モバイルデータ通信の相談が増加-「よく分からないけどお得だから」はトラブルのもと!-
(全文/PDF)
MNO/MVNOでの契約や販売時のトラブルについて寄せられた苦情をまとめたもので、最近頻繁に聞くキャリアショップ店頭での抱き合わせ販売なども掲載されているが、本稿では特に本ブログでは日本通信(b-mobile)で問題視してきた「ベストエフォートでのトラブル」に注目したい。
日本通信株式会社御中
この度御社との契約に関し問題となっている点に関連して、以下の通りここに公開質問状を掲載するものです。
何とぞご回答頂きたくお願い申し上げます。
2012年12月上旬、私は「b-mobile月額定額2980円限定Happyパッケージ」を御社宛に申し込みました。本パッケージはドコモLTE/3Gに対応した最大LTE 75Mbps/3G 14Mbpsを謳ったデータ通信専用SIMと2年間の利用で実質0円とするWi-Fiルーターとのセット販売のパッケージです。
しかしながら別稿にも記載しています通り、最大LTE 75Mbps/3G 14Mbpsを謳いながらも私の環境(3G環境)ではせいぜい100-数百Kbpsの性能しかまた頻繁に数十Kbpsしか出ず全く使用に耐えるものではありませんでした。
そのため同12月中旬に「契約取消」を御社へ申し出ましたが御社はデータ通信契約の「解約」としてのみ取り扱い、本日現在に至るまで未だ御社は契約取消に応じず初期費用および1ケ月分の利用料金更に端末割賦分を今後もクレジットカードから引き落とし続けるとされています。
1. 既に御社へも計測データを送付しているように私の環境では平均的にもダウンロードが数百Kbps、頻繁に100Kbpsを下回る性能しか得られず絶対的な性能値云々以前に「利用に堪えない」状況であり故に契約取消を迫らねばならない状況でした。すなわち「使用できない製品」だった訳です。御社の瑕疵が原因にもかかわらず御社が契約のキャンセルを認めずあくまで課金を続けられる理由をご説明下さい。
2. 御社では、月額980円でダウンロード速度を最大150Kbpsに「制限」しているプランもお持ちです。しかし私のケースでは月額2980円のプランにも関わらずこの980円プランにも満たない性能の場合も多くありました。これは大変不公平かつ不公正なことであると個人的には考えますが、こうした事例に関しての御社の見解をお聞かせ下さい。
3. 御社における「ベストエフォート」の定義をお教え下さい。
4. ベストエフォートとは日本語では「最善努力」と主に訳されますが、一説には契約に厳しい欧米では契約事項に含めるからにはどのような「最善努力」がなされているか非常に厳しく求められる事項であり契約に含める場合にはかなり躊躇される条項であるともお聞きします。
御社ではベストエフォートに関して具体的にどのような「最善努力」をされていますか。またその最善努力は具体的にどのような成果を上げてきましたか。
5. 他社の同様なドコモ殿MVNO(IIJmio殿など)では上記計測と同様の環境でもどの時間帯でも、ダウンロードが1Mbpsを下回ることはまず無く通常はコンスタントに2-3Mbpsを維持しています(3G環境の場合)。御社と全く同じような価格帯の製品であり同じドコモ殿のMVNOでありながらこのような差が出る原因は何でしょうか。どのような原因が考えられますでしょうか。
6. 電話サポートでは「他のお客様から同様のお叱りは頂いている」とお聞きしています。他のお客様にはどのように対応されていますか。また皆さん上記の説明にて大変満足されて納得されていますでしょうか。
7. 例えどのような「低スピード」「低性能」であろうとも御社が「ベストエフォート」と銘打たれていらっしゃる限りは、今後含めて顧客からの契約取消を「一切受け付けない」方針は変わりませんか。
以上となります。
お忙しい中恐縮ですがご回答賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
—
以上の内容で、日本通信殿へはご連絡申し上げる予定です。
何か進展ありましたら当ブログにても取り上げます。
以上
(追記) Twitterでの反響をまとめてみました。
(追記) 2013/01/24
以下の内容で催促のメールを送付しました。
日本通信株式会社
代表取締役社長 三田聖二殿
代表取締役専務CFO 福田 尚久殿
常務執行役員 田島淳殿先日1月11日付けにて下記の通り、御社宛公開質問状をご通知および下記URLにて公開させて頂いております。
勝手ながら18日までのご回答をお願いしておりましたが、本日に至るまでご回答を頂いておりません。
本公開質問状は公開後約数万ビュー閲覧されており、ネットでの反応を見ましても大変注目される質問となっております。
ぜひ御社のお立場やお考えを明らかにして頂きたく、正々堂々ご回答頂けませんでしょうか。
ご回答若しくは回答の是非、回答できない場合は何故出来ないのかお教え頂けましたら幸いです。お忙しい中大変恐縮ですがご返答賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(追記) 2013/02/08
こういうツイートを日本通信の公式アカウントからもらっていたのですが、
本日に至るまで二度サポートへ催促したのですがガン無視されてますね。
多分上から黙殺するように指示されているのでしょうね。
今日の夕方になって、「日本通信(b-mobile)が発売している実質0円のLTE付きHappyキャンペーンパッケージがアマゾンおよびヨドバシでも発売を開始した」というニュースを見て、「これはマズい」と思いブログを書いてみる。
日本通信、月額2980円のLTEルーター+SIMのAmazon版/ヨドバシ版を発売
結論から言えば「あなたはこれに手を出すべきでは無い」という忠告だ。
つまり「このパッケージを買ったはいいが速度性能的に全く使い物にならず、クレームを付けてもキャンセルや話し合いをガンと拒否され、解約で端末割賦分3万2千円を『何も利用していないのに』請求されるであろう僕が通りますよー」ということである。
日本通信の酷い速度性能についてよく知っている方はこれを読む必要性は全く無い。
しかし「割と良いのでは無いかな」と一週間前の僕と同じことを考えてしまった人はぜひこの忠告を読んでみて欲しい。
この実質0円LTEルーター付きパッケージは「b-mobile月額定額2980円限定Happyパッケージ」という名称で販売されている。
月額2980円/LTE・3G対応/2Gまで利用可能というほぼ一般的なSIMパッケージだが、そこにb-mobile4G WiFi2というLTE対応Wi-Fiルーターを「実質0円」で付けているところが特徴である。
このルーターは定価32000円だが、1ヶ月目 1520円・2ヶ月目〜24ヶ月目 1360円の割賦でのみ販売し、かつ月額料金からこの割賦分と同額を差し引くことで、結果月額2980円で「24ヶ月使い続ければ」実質0円になるという謳い文句である。
この話だけなら特に悪くも無い。どころか、月額2980円でLTEが使えるのならまた2年と言わず常にデータ通信用SIMが欲しいなあと思っていたなら(まさに僕がそうなのだけど)非常に魅力的に映ることだろう。
そう、「2年間使い続けられる」ならば。
逆に言えば、2年も使い続けることがストレスにしかならない代物であったなら、即解約せざるを得ないなら、初期手数料はもちろんのこと、全く使わなかったとしても端末割賦代金一括3万2千円をドブに捨てることになるのである。
まさしくこの「b-mobile月額定額2980円限定Happyパッケージ」はそういう代物であった。
結論から示そう。
以下は今週初めに、問題が発覚してからエビデンスとして約一日張り付いて計測した結果である。
2012/12/10 19:00 | 2012/12/10 22:00 | 2012/12/11 1:00 | |||||||
Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | |
XTREAM SEED TEST | 759 | 258 | 169 | 3583 | 671 | 153 | 307 | 120 | 49 |
SpeedTest HD | 258 | 0 | 60 | 490 | 630 | 190 | 301 | 0 | 130 |
BNR Speed Test | 381.35 | 500.71 | 299.54 | ||||||
2012/12/11 2:30 | 2012/12/11 8:00 | 2012/12/11 11:00 | |||||||
Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | |
XTREAM SEED TEST | 3993 | 287 | 86 | 2740 | 1450 | 106 | 3128 | 517 | 84 |
SpeedTest HD | 267 | 0 | 190 | 423 | 2520 | 320 | 268 | 0 | 190 |
BNR Speed Test | 446.32 | 966.36 | 500.98 | ||||||
2012/12/11 13:00 | 2012/12/11 15:00 | Avg | |||||||
Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | Latency(ms) | Download(Kbps) | Upload(Kbps) | |
XTREAM SEED TEST | 3508 | 203 | 35 | 1842 | 383 | 94 | 2482.5 | 486.125 | 97 |
SpeedTest HD | 489 | 0 | 60 | 342 | 630 | 320 | 354.75 | 472.5 | 182.5 |
BNR Speed Test | 192.09 | 356.5 | 455.48125 |
計測場所は都内山手線にも近い某所(つまり僕の自宅なのだけど)、またLTEがまだ来ていないため。3G/HSDPAであったことには注意して欲しい。
テスト内容は、日本通信の4G WiFi2 ルーターにSIMを刺しiPhone5からWi-Fi接続を行い各種アプリ・サービス(XTREAM SPEED TEST、Speed Test HD(サーバーは東京)、BNR Speed Test)にて計測を行った。つまりこのパッケージにおいて日本通信が想定している利用方法そのままである。
実は先月いっぱいまで同じドコモのMVNOであるIIJmioのファミリーシェア1Gプランを利用していた。iPhone環境などが変化したため一旦解約したのだが、エビデンスとしては残していないので曖昧な書き方になるが、日中あるいは深夜でもまず1Mbpsを下回っていたことはなかった。平均的にはほぼ2-3Mbpsだっただろう。(同じく3G/HSDPA環境)
恐らくはドコモの純正SIMを利用されている方でも、山手線などの大きな駅近くでも無い限りは同じような速度を体験されているのでは無いかと思う。僕の友人間でもドコモ(MVNO含む)ではそれぐらいの体感が多いように思う。
しかしそれに対する日本通信での性能の低さは顕著だ。まずこれまで1Mbpsを大きく超えた経験がほとんど無い。
上記エビデンスでも1Mbpsを超えているのは、時間帯的にネットワークが最も空くとされる朝方のみである。しかもそれでも平均すると1.6Mbps程度なのだ。
特に気になった箇所は赤字で示しておいたが、ダウンロード速度が計測できなかった(0の箇所)、レイテンシィが何と数秒以上の箇所が多い。これはつまり内部ネットワークの軋轢がかなりあることの証左であろう。
また、よく月額980円程度で120Kbpsに制限しているデータ通信専用SIMというのもあるが、まさしく混んでいる時間帯にはその程度の速度しか出ていない。
僕自身の感覚的な話になるので詳しくは省くとしても、実際の利用(特に昼や夜間など「最も利用したい時に」)にかなりストレスを感じたことは容易に想像してもらえるのでは無いか。
では日本通信はこうしたクレームについてどのように回答しているか。
何度かメールなどでやり取りしたが、まとめるとこういうことだ。
「ベストエフォート」はやっかいだ。何故ならそこには「明確でデジタルな判断基準」が存在しないからだ。
一般論として「ベストエフォートを謳いつつ極端に性能が低い場合消費者への何らかの救済策があり得るか」、まず総務省に聞いたところ、そもそもガイドライン含めて実はベストエフォートという定義を打ち出したことは無い。あくまでこの文言は業界の慣例であるとのことだった。なので当然のことながら速度性能がどの程度であろうとベストエフォートを謳っている以上介入や指導は出来ないとのことであった。
国民生活センターでも「どこからなら問題か」数値を示せない以上お力にはなれないという回答であった。
つまりこうした問題に直面した場合、あなたを助けてくれる第三者機関や行政は存在しない。
まあ2年に限らないのだけど、何故かここに来て、MVNO各社がWi-Fiルーターなどを絡めつつ2年継続前提のサービスを打ち出してきている。
下り最大37.5Mbpsの高速データ通信をオトクに使う!UIMカードが3枚使えるLTEが月額2930円~ 「BIGLOBE LTE」
*上記は2年以内の解約料9975円
ドコモの回線を利用した月額2880円のLTEサービス「OCN モバイル エントリー d LTE」が12月3日に登場へ
* モバイルルーターも申し込んだ場合2年以内の解約料9975円
ワイヤレスゲート、公衆無線LAN対応のLTE通信サービス
* 1年以内の解約料は38000円
これまでのMVNOのイメージで言うなら、初期手数料は3150円程度かかるにせよ途中解約金は無く、しかし気楽に止められる簡便さがあった。
語弊も込めて言うなら、たとえ性能などが悪くともリスクも低いので「安かろう悪かろう」が受け入れられやすい土壌があったと言える。
しかしここに来てそう単純では無くなりつつあるのかも知れない。
MNO(ドコモやKDDI、ソフトバンクなどの大手一次セーラー)なら上記のような酷い速度になってしまったらその影響範囲は数十万から数百万人に及ぶかも知れず、一度的では無く恒常的になれば総務省も重い腰を上げて指導に乗り出さざるを得ず、また有名な会社故に各社とも問題解決に躍起になってくれることだろう。しかしMVNOはそうではあるまい。言うなれば「玉石混交」だ。どこが良くて悪いのか使ってみるまでは分からず、それでも気軽に解約できるなら問題は無かったが、MNOの真似をし出して2年縛りなどを覚え出すと、こうした被害の影響はMNOに比べて極端に低いのでMVNO各社が無視を決め込めば、更に行政が何の救済もしないとなれば、消費者は言われるがままに無駄金を払って泣き寝入りするしか無い。
とは言え僕は日本通信とIIJmioの現時点での実情しか知らず上記の例がどうかは分からない。しかし「リスクの高い」○年縛りにはぜひ注意して欲しいと思う。
話を戻して。
日本通信は話し合いに応じるつもりは無いそうなので、残るは法的手段に訴えるしか僕には選択肢は無いのだが、これについては報告できるようならまたブログにでも書くことにしよう。
最後に、僕が最後のメールで日本通信に宛てて書いた内容を持ってこの稿は締めくくろう。
御社としては「全体としては正常かつ妥当な通信」であり「利用場所や時間帯等の通信状況に左右される」と、全体としての正当性を主張されたいようですが、実際の問題として重要なのは「ユーザー一人一人の体験」であり、そうした個々の事例が救済されないのは大変問題であると考えます。そうした個々の問題として「ベストエフォート」を免罪符にして問題の積極的な解決を図られないのは、企業として近いうちに必ず破滅を招くでしょう
まさに今、日本通信は2010年代の「Yahoo!BB ADSL」と化した。