2014-09
13
03:40:51
iPhone6/6 Plusの総額コストを大手キャリアとSIMフリー+MVNO前提とで比較してみる


昨日(9/12)、ようやくiPhone6と6 Plusの価格が一部大手キャリア(MNO)から発表され9/19の発売に向けて予約が始まった。

速報:ドコモ、価格未定のままiPhone 6 / iPhone 6 Plus の予約受付を開始(更新)
速報:au、iPhone 6 / 6 Plusの販売価格発表。iPhone 6は7万2360円〜、iPhone 6 Plusは8万5320円〜
速報:ソフトバンクがiPhone 6 / 6 Plusの販売価格発表。iPhone 6は7万80円~、6 Plusは8万3280円~

最大手キャリアのドコモからは本体価格が不明なまま予約だけが始まるという意味不明なことになってしまったが、auとソフトバンクでは本体価格と毎月割・月々割価格も判明したことで、月額コストや1年または2年間の総額コストも割り出せるようになった。

(追記: 2014/09/15)
14日にドコモも本体価格および月々サポート額を発表したので、初稿にこれを反映した。

「携帯やスマホの維持費」というと月額料金にばかり目が移りがちなのだが、実際には月々サポート・毎月割・月々割などで値引きされているように見えて実態は本体価格の割引であったりして、実態を示していないことが多い。
僕自身は携帯・スマホの維持コストは、1年や2年間などその端末を利用し続ける予定の期間の総額コストで比較すべきだと思っている。

ということで、本稿では大手キャリアと契約した場合と、同時にアップルストアで販売されるSIMフリー機とMVNOと契約した場合の1年または2年間の総額コストを、どの程度異なるのか比較してみよう。
なおMVNOとしては人気ブランドかつ通話も可能という点からIIJmioのミニマムプラン(高速データ通信1GB/月まで。音声通話付き月額¥1,728)を例に挙げてみる。
なお以下はあくまでシミュレーションであって、例えば契約開始月と毎月割・月々割開始月がずれるなどの理由で必ずしも実際の支払額はこの通りにはいかないだろう。あくまで傾向を示していると理解して欲しい。
内容の正確さについては筆者は保証しない。

本体価格

まずは以下が昨日発表されたauとソフトバンクの本体価格各大手キャリアの本体価格と月々サポート・毎月割・月々割価格だ。煩雑になる過ぎることもあり、本稿ではMNP・新規契約を対象にしている。
また以下は全て消費税込み(8%)で表記している。

キャリアへのMNP/新規 iPhone6 iPhone6 Plus
16G 64G 128G 16G 64G 128G
ドコモ
本体価格 ¥73,872 ¥86,832 ¥97,200 ¥86,832 ¥97,200 ¥99,792
月々サポート ¥3,078 ¥3,078 ¥3,024 ¥3,078 ¥3,024 ¥2,646
au
本体価格 ¥72,360 ¥85,320 ¥96,120 ¥85,320 ¥96,120 ¥99,360
毎月割 ¥3,015 ¥3,015 ¥3,015 ¥3,015 ¥3,015 ¥2,700
ソフトバンク
本体価格 ¥70,080 ¥83,280 ¥94,080 ¥83,280 ¥94,080 ¥99,360
月々割 ¥2,920 ¥2,920 ¥2,920 ¥2,920 ¥2,920 ¥2,690

次にアップルストアでのSIMフリー機価格だ。

アップルストア・SIMフリー機 iPhone6 iPhone6 Plus
16G 64G 128G 16G 64G 128G
本体価格 ¥73,224 ¥86,184 ¥96,984 ¥86,184 ¥96,984 ¥107,784

基本的にはアップルストアのSIMフリー機が数千円程度高く設定されているようだがドコモは微妙に高く設定されている(SIMフリー機の方が安い!)。しかし1万円までの違いは無いので、ほぼ同じだと考えていいだろう。
大手キャリアの場合は同時に毎月割や月々割があるので、月額料金から毎月割り引かれることで、2年契約で丸々2年利用すれば、例えばiPhone6 16Gであれば「実質価格」は0円になるように調整したようだ。
もちろんSIMフリー機+MVNOの場合はこうした「割引」は無い。

総額コスト

では総額コストだ。
細かいところは飛ばしてしまって、最終的な1年および2年使用した場合(大手キャリアの場合は所謂2年契約を前提)で比較した。

本体価格+プラン別総額(2年契約・1年で解約・違約金込) iPhone6 iPhone6 Plus
16G 64G 128G 16G 64G 128G
ドコモ
2GB ¥131,436 ¥144,396 ¥155,412 ¥144,396 ¥155,412 ¥162,540
5GB ¥150,876 ¥163,836 ¥174,852 ¥163,836 ¥174,852 ¥181,980
8GB ¥172,908 ¥185,868 ¥196,884 ¥185,868 ¥196,884 ¥204,012
10GB ¥209,196 ¥222,156 ¥233,172 ¥222,156 ¥233,172 ¥240,300
15GB ¥248,076 ¥261,036 ¥272,052 ¥261,036 ¥272,052 ¥279,180
20GB ¥293,436 ¥306,396 ¥317,412 ¥306,396 ¥317,412 ¥324,540
30GB ¥377,676 ¥390,636 ¥401,652 ¥390,636 ¥401,652 ¥408,780
au
2GB ¥130,680 ¥143,640 ¥154,440 ¥143,640 ¥154,440 ¥161,460
3GB ¥139,752 ¥152,712 ¥163,512 ¥152,712 ¥163,512 ¥170,532
5GB ¥150,120 ¥163,080 ¥173,880 ¥163,080 ¥173,880 ¥180,900
8GB ¥172,152 ¥185,112 ¥195,912 ¥185,112 ¥195,912 ¥202,932
10GB ¥189,000 ¥201,960 ¥212,760 ¥201,960 ¥212,760 ¥219,780
13GB ¥212,328 ¥225,288 ¥236,088 ¥225,288 ¥236,088 ¥243,108
ソフトバンク
2GB ¥129,540 ¥142,740 ¥153,540 ¥142,740 ¥153,540 ¥161,580
5GB ¥148,980 ¥162,180 ¥172,980 ¥162,180 ¥172,980 ¥181,020
10GB ¥187,860 ¥201,060 ¥211,860 ¥201,060 ¥211,860 ¥219,900
15GB ¥246,180 ¥259,380 ¥270,180 ¥259,380 ¥270,180 ¥278,220
20GB ¥291,540 ¥304,740 ¥315,540 ¥304,740 ¥315,540 ¥323,580
30GB ¥375,780 ¥388,980 ¥399,780 ¥388,980 ¥399,780 ¥407,820
本体価格+プラン別総額(2年契約・2年利用) iPhone6 iPhone6 Plus
16G 64G 128G 16G 64G 128G
ドコモ
2GB ¥168,480 ¥181,440 ¥193,104 ¥181,440 ¥193,104 ¥204,768
5GB ¥207,360 ¥220,320 ¥231,984 ¥220,320 ¥231,984 ¥243,648
8GB ¥251,424 ¥264,384 ¥276,048 ¥264,384 ¥276,048 ¥287,712
10GB ¥324,000 ¥336,960 ¥348,624 ¥336,960 ¥348,624 ¥360,288
15GB ¥401,760 ¥414,720 ¥426,384 ¥414,720 ¥426,384 ¥438,048
20GB ¥492,480 ¥505,440 ¥517,104 ¥505,440 ¥517,104 ¥528,768
30GB ¥660,960 ¥673,920 ¥685,584 ¥673,920 ¥685,584 ¥697,248
au
2GB ¥168,480 ¥181,440 ¥192,240 ¥181,440 ¥192,240 ¥203,040
3GB ¥186,624 ¥199,584 ¥210,384 ¥199,584 ¥210,384 ¥221,184
5GB ¥207,360 ¥220,320 ¥137,700 ¥220,320 ¥231,120 ¥241,920
8GB ¥251,424 ¥264,384 ¥275,184 ¥264,384 ¥275,184 ¥285,984
10GB ¥285,120 ¥298,080 ¥308,880 ¥298,080 ¥308,880 ¥319,680
13GB ¥331,776 ¥344,736 ¥355,536 ¥344,736 ¥355,536 ¥366,336
ソフトバンク
2GB ¥168,480 ¥181,680 ¥192,480 ¥181,680 ¥192,480 ¥203,280
5GB ¥207,360 ¥220,560 ¥231,360 ¥220,560 ¥231,360 ¥242,160
10GB ¥285,120 ¥298,320 ¥309,120 ¥298,320 ¥309,120 ¥319,920
15GB ¥401,760 ¥414,960 ¥425,760 ¥414,960 ¥425,760 ¥436,560
20GB ¥492,480 ¥505,680 ¥516,480 ¥505,680 ¥516,480 ¥527,280
30GB ¥660,960 ¥674,160 ¥684,960 ¥674,160 ¥684,960 ¥695,760
SIMフリー本体価格+IIJmio ミニマム(1GB)・音声付総額 iPhone6 iPhone6 Plus
16G 64G 128G 16G 64G 128G
1年間総額 ¥93,960 ¥106,920 ¥117,720 ¥106,920 ¥117,720 ¥128,520
2年間総額 ¥114,696 ¥127,656 ¥138,456 ¥127,656 ¥138,456 ¥149,256

端末が6種類、またキャリアではデータプランが6種類程度ありすべて記載しているのでかなり煩雑になってしまった。
計算の経緯は飛ばしてしまっているが、大手キャリアの場合は

(端末価格 + (月額料金 x (12ヶ月または24ヶ月)) – (月々サポート・毎月割・月々割 x(12ヶ月または24ヶ月)) + (12ヶ月の場合のみ解約金 10260円)

また月額料金は

かけ放題プラン + ISP料金 + 各データプラン

で計算している。
SIMフリー機+MVNOは、IIJmioのミニマムプラン ¥1,728/月と決めてしまっているので

端末価格 + (月額料金 x (12ヶ月または24ヶ月))

となる。もちろんプランは幾つかあるのでそれにより価格は変わってくる場合もあるが、月額¥1,728はMVNOでは一般的な価格であろうと思う。

煩雑だがiPhone6 16Gで比較してみると、SIMフリー機+MVNOが1年間: ¥93,960・2年間: ¥114,696に対して、ドコモ(2GBプラン)は1年間:¥131,436・2年間: ¥168,480、au(2GBプラン)は1年間: ¥130,680・2年間: ¥168,480、ソフトバンク(2GBプラン)は1年間:¥129,540・2年間: ¥168,480となり、如何に割引があったとしても月額コストの差は歴然だ。
またiPhone6 16GB はどの大手キャリアも「実質価格」0円としているので、2年間利用するとどのキャリアでも全く同じ総額になるのも現状のねじれたマーケット環境を示していて興味深い。
SIMフリー機+MVNOは大手キャリアに比べて、大体70%程度と考えて良いだろう。

SIMフリー機+MVNOは「買い」か

注意しないといけないのは、コスト面でのメリットはあってもSIMフリー機+MVNOにも状況によっては「デメリット」と言える点もあることだ。
まずデータ通信(LTEの高速通信)の上限が、このIIJmioミニマムプランでは月に1GBまでなど通常数GBまでと低めに押さえられていることだ。これを超えると120Kbpsや200Kbpsなど比較的低速に押さえられてしまう(但し1GB=1000円ほどで追加可能)。
だがこの点は月に数GBも使えれば十分だったり、大手キャリアのデータプランでは通信量が多くて高く設定されているとすれば逆にだからこそMVNOの方がよい人も多いだろう。
自分の利用データ量がこの範囲に収まるとわかっていれば問題にはならないだろう。

次に通話かけ放題プランは無く、従来の大手キャリアの料金と同じく21円/30秒、1分あたり42円もの通話料金がかかる。
しかしそもそも通話かけ放題プランでは約40-50分程度の通話が無ければ元が取れないので、これも月にそこまでかけないことが分かっていれば必要ないし、近年ではLINEなど無料通話があれば用が足りてしまい、そもそも通話など必要ないことも多いだろう。

その他にも、ケータイメールアドレスが無い、一部の年齢認証が必要なサービスが受けられない、近くのキャリアショップで相談できない、などの「デメリット」が指摘されることもあるが、それらを理解の上で「シンプルな」サービスと料金を期待してSIMフリー機+MVNOを利用するのであれば問題無いと考えても良いだろう。

メリット以上にSIMフリー機+MVNOを利用した方がいい理由

実は現在携帯業界で起きている(起きつつある)のは、ちょっとした「競争の前触れ」だと言える。
大手キャリアの料金が高すぎて、しかもどの大手キャリアもほとんど同じような(全く同じ)高い価格で統一してしまっているのは広く知られるようになった。
ここは想像でしか無いが、大手キャリアにすれば各社で価格競争をするよりは、他社がどのようなプランを出してくるかを見て、それに競争をしかけるよりは全く同じプランにしてしまった方が競争も起きず安定した収益を「業界として」得られることになる。
恐らくそれが大手キャリアのプランが全て高いまま同じである理由では無いか。

何も起きなければ、大手キャリアは当然その状態をいつまでも維持しようとするだろう。
しかし近年は一方で、MVNOが比較的自由なプランと価格体系で「安く」携帯やスマートフォンを利用できるようになってきた。また通話もLINEを始めとした「無料通話」が一般化し大手キャリアは通話料が取れなくなり、故に「無理に」かけ放題の名の下にどのユーザーからも、通話を使おうと使わまいと定額が取れるプランを半ば「強制的に」提供することにしたのでは無いか。
もしそうなら、何とユーザーを馬鹿にした話だろうか。

我々ユーザーがこうした大手キャリアに「対抗」するにはどうすべきか。
彼らのプランや利用そのものに「ノー」と言うことである。つまりできるだけ使わない、というのが資本主義においての正しい行動である。
皆が皆大手キャリアを辞めることは難しいかも知れない。しかし近年のようにMVNOが溢れSIMフリー機なども手軽に手に入るようになってきた以上、出来るだけSIMフリー機+MVNOを選択して欲しい。
特にiPhoneの場合は、取りも直さず「あの」iPhoneをMVNOとの契約で手軽に利用できるようになったのは初めてだと言える。
「競争を忘れてユーザーに胡座をかいている」大手キャリアに、SIMフリー機+MVNOを選ぶことで(iPhoneで無くても構わない)一人でも多く「ノー」を突きつけて欲しいものだと思っている。
それが近い将来、結局は我々ユーザーの「メリット」として返ってくるはずである。

 

付記:

気になりながらも書いていたが念のため。
MVNOは基本的に大手キャリアの回線を借りているだけなので、その借り元のキャリアの端末であればSIMロックされていても(SIMフリー機で無くとも)問題無い。日本ではほとんどのMVNOはドコモの回線を借りているので、ドコモの端末またはドコモで利用できる端末であれば問題無いことになる。
例としてあげたIIJmioやその他有名どころではOCNぷららなどが該当する。
故にSIMフリー機のiPhoneで無くとも、そのうちドコモのiPhoneが中古機で販売されていたらそれでも問題無く利用できることになる。
詳しくは必ず各MVNOの「利用可能な機種」を確認して欲しい。

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